永世名人・森内俊之九段「女流棋界は時代に合わせてすごく伸びてきた。女流棋士が職業としての魅力を増している」 | ニュース | ABEMA TIMES

森内俊之九段

2021.10.06 12:00

近年、大きな注目を集めるようになった将棋界。藤井聡太三冠（王位、叡王、棋聖、19）が最たるものだが、華やかで、かつ凛とした表情で戦う女流棋士にも、その盛り上がりが伝わっている。里見香奈女流四冠（29）、西山朋佳女流三冠（26）がタイトルを二分し、さらに次世代の若手女流がその座を脅かそうと、次々に台頭している状況だ。永世名人の有資格者である森内俊之九段（50）も、「この数年、女流棋士の活躍の場も増えてきて、それに伴って実力もすごく向上しました」と目を細めている。この成長が持続すれば、将棋界に新たな未来が開けそうだ。

女流棋界は1974年にタイトル戦が始まり、少しずつその数を増やしてきた。女流名人（1974年）、女流王将（1979年）、女流王位（1990年）、倉敷藤花（1993年）と4つまで増え、2008年に女王（マイナビ女子オープン）が誕生。2011年に女流王座が創設され、ここから8年間は、六冠の時代が続いた。ところが、2016年10月にプロデビューした藤井三冠の大活躍という追い風もあってか、2019年に清麗、そして2021年には女流棋界初の順位戦を導入する白玲が生まれたことで、男性と同じく八冠時代に突入した。

棋士による戦いに比べれば、女流棋界の歴史はまだ浅い。森内九段も「発展途上の段階です」という。ただ、ここ数年の発展、進化は目覚ましい。「時代に合わせてすごく伸びてきた世界だなと思います。すごく熱心に取り組む女流棋士が増えました。女流棋士の職業としての魅力が増しましたし、これからも優秀な人が入ってくると思います」と、前向きな言葉ばかりが続いてくる。

新しい流れを感じられる業界は力強い。現在は里見女流四冠と西山女流三冠がタイトルを分け合っている（白玲はタイトル戦が開催中）。ただし、これも絶対的なものではなくなるというのが、森内九段の見立てだ。「里見さん、西山さんは奨励会で修行をされて力をつけられた。今は環境の変化というか、AI（将棋ソフト）の発展で、どんな環境でも強くなれる時代になっています。今は2人が目立っていますけど、脅かす存在も確実に育っています」と、新世代の台頭は既に目に見えている。さらには「20代前半といえども、うかうかしていられない。さらにその後輩の世代も出てきています」と、藤井三冠と同じく10代の活躍も、もう見えている。

女流棋士の活躍は、さらなる将棋界の発展に対して、実に大きな可能性を秘めている。「将棋の世界は、日本の男性が中心となって普及してきた歴史があります。ただせっかく、女流のプロ制度がある以上、女性にも見ていただきたいし、広がってもらえるとうれしいです。それに日本だけじゃなくて、世界でも広がってほしいです。そのために棋士や関係者が力を尽くしてやっていかないといけないですね」と、日本に留まらない盛り上がりも求めた。

男性中心だった世界で、女性が活躍することで、景色ががらりと変わった業界はいくつもある。女流棋界への注目度が上がるほど、その行く末は明るく広くなっていく。

◆第2回女流ABEMAトーナメント　第1回は個人戦として開催され、第2回から団体戦に。ドラフト会議で6人のリーダー棋士が2人ずつ指名し、3人1組のチームを作る。各チームには監督棋士がつき、対局の合間にアドバイスをもらうことができる。3チームずつ2つのリーグに分かれ総当たり戦を行い、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。チームの対戦は予選、本戦通じて、5本先取の9本勝負で行われる。
（ABEMA／将棋チャンネルより）

【動画】第2回女流ABEMAトーナメント　ドラフト会議

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