藤井聡太二冠 豊島将之二冠が語る抱負 29日愛知で開幕 8月に徳島市で第5局

【第62期王位戦】藤井聡太二冠 豊島将之二冠が語る抱負 29日愛知で開幕 8月に徳島市で第5局|徳島新聞

開幕局は6月29日、愛知県名古屋市「名古屋能楽堂」



2021/6/22 10:00

藤井聡太王位(18)=棋聖=に、豊島将之竜王(31)=叡王=が挑む「お~いお茶杯第62期王位戦」(徳島新聞社など主催、伊藤園特別協賛)7番勝負が29日に名古屋市で開幕する。昨年、棋聖と王位を続けて獲得し二冠となった藤井の防衛戦。59期以来の奪還へ名乗りを挙げた豊島は藤井に6勝1敗と大きく勝ち越しており〝最強〟の挑戦者といっていいだろう。第4局までに決着しない場合は、徳島市で8月24、25日に第5局が行われる。両対局者に、7番勝負に臨む意気込みを語ってもらった。

藤井聡太王位 バラエティーに富む戦型で

前期の王位戦7番勝負では初めて2日制の対局を経験しました。全国を転戦して戦ったのは初めてで、飛行機に乗ったのも10年ぶりでした。現地の方に歓迎していただき、楽しく将棋を指すことができました。

タイトルホルダーという立場になり、公式戦の対局で上座に座って駒箱を開けるという機会が圧倒的に多くなりました。以前にも増して身が引き締まる思いがしています。

豊島竜王は同郷・愛知県の先輩。深い研究と鋭い終盤力を持ち、過去の対戦成績でもこちらが大きく負け越している強敵です。

豊島竜王も私と同じように、一時期は角換わりの採用率が高かったように思いますが、最近は相掛かりや矢倉も指されています。7番勝負ではバラエティーに富んだ戦型となった方が、ファンの皆さまにとっておもしろいと思いますので、私も違う戦型を採用していくことになるかと思っています。一つの戦型に偏ることなく、相居飛車の幅広い戦型が登場する7番勝負になるのではないでしょうか。豊島竜王はどの戦型も深く研究されているので、それに対してこちらがどのように対応できるかがポイントになりそうです。

7番勝負は得られるものが多い舞台です。序盤の工夫や中盤のねじり合い、また終盤に至るまで、楽しんで観戦してほしいですね。長い持ち時間を生かして、いい内容の将棋をつくりあげたいと思っています。ご観戦、よろしくお願いします。

ふじい・そうた 2002年生まれ、愛知県瀬戸市出身。杉本昌隆八段門下、12年、6級で奨励会入会。16年、四段昇段。16年から17年にかけ、デビューから29連勝で連勝記録を更新。20年、棋聖獲得で初タイトル、王位奪取で二冠、八段昇段。詰め将棋で鍛えた鋭い終盤力を持つ居飛車党。

豊島将之竜王 終盤の競り合いに持ち込みたい

王位戦は、北海道から九州まで全国を移動するので「タイトル戦を指してるなあ」と実感できる棋戦です。藤井王位とは同じ愛知県出身。同郷同士の対局になりますので、地元の方には喜んでいただけると思っています。

居飛車党で手厚い将棋を指される藤井王位は、序盤の新しい感覚を早くから習得していて最先端の将棋を指されている印象です。最近は作戦の幅も広がっているのでいろいろな戦型が予想されます。自分の力が出るような展開にできるようしっかり準備して対局に臨みます。

2日制の王位戦は長い持ち時間があります。私はゆっくり考えることが好きで、藤井王位も順位戦など長い時間の将棋のほうがより精度の高い将棋を指されている印象があります。藤井王位は序中盤から時間をじっくりかけて指してこられますので、私にとっても一手一手丁寧に考えることのできる充実した時間になると思います。

終盤のミスが少ない藤井王位は、最近はずっと優勢を維持したまま勝たれています。自分なりに精いっぱい指して、終盤の競り合いに持っていくことができるようにしたいですね。

(他棋戦の重要対局も多く)日程が詰まっています。ただ、竜王戦が終わってすぐは対局が少なくなってしまい(調整が)難しいところがありました。たくさん対局できるのはうれしいことなので、体調に気をつけて精いっぱいがんばりたいです。

とよしま・まさゆき 1990年生まれ、愛知県一宮市出身。桐山清澄九段門下、99年、6級で奨励会入会。2007年、四段昇段。18年、棋聖を獲得し初タイトル、王位獲得。19年、名人を獲得、竜王奪取、竜王・名人に、九段。20年、叡王獲得、竜王防衛。精密な研究で他を圧倒する居飛車党。

「勝敗予想は4ー3。どちらが勝つか分からない」対談 木村一基九段×飯島栄治八段

―挑戦者が豊島竜王になりました。

木村 リーグ戦では急所の一番だった澤田さん(真吾七段)との一戦で快勝。挑戦者決定戦は、羽生さん(善治九段)を相手に受けきって勝つ内容でした。充実していると感じます。
飯島 挑戦者決定戦は豊島竜王の深い研究を感じました。

―対する最近の藤井王位の調子は。

木村 勝率も将棋の内容も驚異的といっていいかと思います。作戦の立て方がうまいというか、研究が進んでいる現代将棋の中でも、藤井王位はさらに前を進んでいる印象があります。

―両者は公式戦で藤井王位から見て1勝6敗。6連敗の後、直近の朝日杯で藤井王位がようやく1勝を返しました。

飯島 二人の対戦で一番覚えているのは竜王戦本戦トーナメントです。豊島竜王の逆転を見ていて、粘り強さを感じました。対局の内容を見ると、ここまで星取りが偏るはずはないと思っています。しかし豊島竜王が大きく勝ち越している対戦成績を見て、改めて豊島竜王の恐ろしさを感じました。

木村 直近の対局を勝ったのは、藤井さんとすればホッとしたでしょうし、連勝していた豊島さんとしては気持ちが悪いとは思います。私は五分と五分のまっさらな状態になったかなと捉えています。

―両棋士と王位戦で7番勝負を戦った木村九段から見た両者の特徴は。

木村 大変似ていると言いますか、将棋界全体の傾向として研究が熱心になるにつれ個性がなくなるところがあります。強いて挙げるとすれば、豊島さんは序盤の作戦の立て方がうまいですね。藤井さんももちろんうまいのですが、豊島さんの方がより相手のことを常に調べ具体的に対策を練っていると感じています。藤井さんはなかなか倒れにくくて、終盤で形勢が悪くても最後まで諦めていないと感じました。両者それぞれ隙がないのですが、極端な言い方をすれば序盤の豊島、終盤の藤井のように感じます。

―戦型予想は。

木村 ここ2年ほど流行していた角換わりは、最近やや下火になっています。じっくりした矢倉になれば研究は大切ですが、いまの矢倉は力戦調になりやすく後手が面白い変化もあります。感覚で勝負するなら矢倉。研究がものを言うなら相掛かりとなるかなと思います。

飯島 矢倉が出てくるのではと思っています。人工知能(AI)を使って新しいものを求めている両者がぶつかったらどのような序盤戦になるのかが興味深いです。

木村 去年の春、コロナの影響で移動を伴う対局が行われなくなった時期を経た後、藤井さんは矢倉の採用機会が増えました。対局のない期間を利用して研究したのでしょう。今年も藤井さんの対局が減った時期があって、それ以降はいままで指す機会が少なかった相掛かりの採用が増えました。藤井さんの先手で相掛かりが1局は出るのではと期待も込めて予想します。

―今回の7番勝負、将棋界の覇権争いにとって大きな意味がありそうです。

木村 7番勝負はやってみないと分からないところがあります。シリーズを通して戦っていく中で、新たに気づくことがあります。2日制でじっくり考えた結果、相手はこういう人なんだと感じることがあります。今回の王位戦でどういう勝負をするかによって、今後の藤井―豊島戦にしばらく影響がある気がします。

飯島 格付けができるということでしょうか。

木村 どちらかが4連勝のように大差になったらあるでしょうね。僅差だったら気にならないでしょうが。

飯島 この7番勝負は、今後に語り継がれる名シリーズになることは間違いありません。天下分け目の決戦と言っていいのではないでしょうか。ちなみに木村先生の勝敗予想は?

木村 4―3でどちらが勝つかは分かりません。1局でも多く二人の対戦を見たいですね。

最新研究のぶつかり合い 観戦記者・森本孝高

昨年、日本中に王位戦フィーバーを巻き起こした藤井聡太王位が防衛戦を迎える。挑戦者の豊島将之竜王は、藤井に6勝1敗と大きく勝ち越しており、外野から見れば〝最強〟の挑戦者がやってきたといえる。

しかし豊島は「(藤井王位は)強敵だが、いい勝負にしたい。精いっぱい指したい」と謙虚。藤井の強さを冷静に分析しているのか、過去の数字はまったく意識していない様子だった。

藤井も、豊島同様に対戦成績は気にすることなく「(豊島竜王との)初対局のときは完敗で勝負にならなかった印象。それ以降、大幅に負け越してはいますが、内容的には競った感じになってきているかな」と、直近の対決で初勝利をあげて、むしろ手応えを感じているようにも見えた。

過去は過去、この7番勝負で改めて勝負をつけようと両者ともに感じているのではないだろうか。

二人は、人工知能(AI)をつかった将棋研究の先端を走っている。そして自分自身で深く考えることをとても大切にしている。

豊島は「AIで検討するのは深く考え抜いた局面にしなければ、自分にとってプラスになるかはわからない」と自戒も込めて語っていた。「不安定な思考のままAIに頼ると、考える力が落ちたり、自分の持つ将棋の感覚に自信がなくなってしまったりと悪影響もある」というのがその理由だ。AIを早くから取り入れてきた豊島だからこそ持てる実感だと思う。

藤井も、AI研究において自分で考えることが大切と強調した上で「AIがすごく強くなったことで可能性が広くなり、自分が強くなる余地がたくさんあることが分かった」とAIの急速な進歩を、むしろ自身の向上の好機ととらえていた。

今期7番勝負について、藤井から「違う戦型を採用することがあるかと思う」との発言があった。これまで角換わりを選択することが多かったが、比較的に指すことの少なかった相掛かりや矢倉を豊島にぶつけてみようと考えているようだ。探究心の強い藤井が、新しい境地に飛び込もうとしている。

そんな藤井に対して、自在に変化する豊島がどのような序盤戦術を見せるか。最新の研究が表れる7番勝負になるのは必至だ。

もちろん両者は中終盤のねじり合いにも定評がある。積極的に指したいと話している豊島の攻めを、藤井が受け止めるスリリングな展開が随所で見られるだろう。

藤井が防衛し長期政権への礎を築くか、豊島が奪取するか。今後の将棋界の覇者を決めるであろうシリーズを1局でも多く楽しみたい。

情報源:【第62期王位戦】藤井聡太二冠 豊島将之二冠が語る抱負 29日愛知で開幕 8月に徳島市で第5局 |文化・芸能|徳島ニュース|徳島新聞



加藤一二三九段の語る王位戦


藤井聡太王位-豊島将之竜王(棋譜中継

対局は6月29日 朝9時から


 

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