【第９２期ヒューリック杯棋聖戦】６日開幕　藤井棋聖ｖｓ渡辺三冠　初防衛か奪還か – 産経ニュース

6日、朝9時から対局開始

2021/6/5 09:48

藤井聡太棋聖（１８）＝王位＝に渡辺明三冠（３７）＝名人・棋王・王将＝が挑戦する将棋のタイトル戦「第９２期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」（主催・産経新聞社、日本将棋連盟、特別協賛・ヒューリック）が６日、開幕する。藤井棋聖は初の防衛戦で、渡辺三冠はリターンマッチで藤井棋聖に奪われた棋聖への返り咲きを狙う。

藤井棋聖は昨年、史上最年少の１７歳１１カ月で初タイトルの棋聖を獲得した。並行して行われた王位戦七番勝負も制し、最年少二冠と最年少八段を達成。棋聖戦で初防衛に成功すれば獲得タイトル通算３期で九段に昇段し、渡辺三冠が持つ２１歳７カ月の最年少九段の記録を大幅に更新する。

渡辺三冠は決勝トーナメントで圧巻の戦いを見せ、挑戦者決定戦に進出。永瀬拓矢王座（２８）との戦いは劣勢を強いられたが、驚異の粘りで逆転し、藤井棋聖への挑戦を決めた。

対戦成績は藤井棋聖の５勝１敗。藤井棋聖の初防衛・最年少九段か、渡辺三冠が２期目の棋聖を獲得し、自身初の４冠に輝くか。勝負の行方が注目される。

（文化部　田中夕介）

■藤井棋聖「大変な番勝負になる」

昨年、初タイトルの棋聖を獲得できました。タイトルは一つの目標だったので達成できてホッとしています。「もう１年か」という気持ちと同時に、五番勝負が非常に楽しみです。

コロナ禍の影響で対面での研究会がなくなり、インターネットでの研究会が多くなりました。将棋に使える時間も増え、コントロールしていかに有効に使うかが大事だと感じています。

挑戦者決定戦は注目して中継を見ていました。渡辺名人がかなり押されている場面もありましたが、少ない時間の中でも的確に指していた渡辺名人の充実ぶりを改めて実感しました。

前期と同じカードで、防衛戦という立場になります。意識せざるを得ない部分もありますが、昨年と同じような気持ちで臨めれば。硬くならず、慎重にならず、思い切って指せればいいと思っています。

渡辺名人を相手に大変な番勝負になると感じています。渡辺名人はかなりの戦略を練ってくると思うので、自分がそれに後れを取らず、しっかりついていけるかどうかがポイントになる。注目されるシリーズになると思いますので、良い内容の将棋にして盛り上げられるように頑張りたい。

■渡辺三冠「棋士人生の鍵」

決勝トーナメントは準決勝、決勝で危ないところがありましたが、何とか勝ち抜けた感じです。藤井さんともう一度、番勝負でしっかり戦いたいという意識が潜在的にあったと思います。自分自身、あまりリターンマッチはないので、それができたということは今、良い状態で将棋を指せているのでしょう。

前期の番勝負は中終盤で競り負けた将棋が多かったです。藤井さんの強さや長所などが分かったつもりなので、どうやったら勝てるかを具体的に練って対局していくことになる。課題が明確になったので、それを踏まえて臨みたい。

タイトル保持者の中で勝率が抜きんでている。私も含め、「対藤井」という意識は強い。藤井さんとどのくらいタイトル戦で戦うか分からないですが、自分が今後、どれくらい戦っていけるか、一線で戦っていけるかということを見通す一戦になると思います。棋士人生を考える意味で大きな鍵になります。

藤井さんは勝ちまくっています。藤井さんに対抗するためにも自分の腕の見せどころであり、注目度の高い番勝負になると思います。その期待に応えるようなシリーズを目指していきたい。

■佐藤会長「最先端の２人、期待度高い」

日本将棋連盟会長で、永世棋聖の資格を持つ佐藤康光九段（５１）に第９２期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負の見どころを聞いた。

◇

決勝トーナメントでの渡辺さんには充実ぶりを感じました。永瀬拓矢王座との挑戦者決定戦は苦しい局面も長かったですが、そこから逆転した勝負術はさすが。タイトルを奪われた人が翌期、挑戦者となるリターンマッチは非常に珍しく、久しぶりです。

渡辺さんの将棋は厚みがあり、研究の深さ、精度の深さや高さ、決断の良さは抜きんでています。

タイトルホルダーとなった藤井さんの強さは次元が違う。１９連勝でストップしましたが、タイトルホルダーが半年も負けていないのは普通は考えられません。

非常に隙がない将棋で、混戦から抜け出す力が優れていると思います。そこは渡辺さんと共通しているところではあります。

前期は全局を通して衝撃度の高いものでした。今期も両者の研究の深さ、精度の高さは間違いなく見られると思います。タイトルホルダー同士、現代将棋の最先端を引っ張る２人だけに予想はまったくつきません。期待度は高いですね。

■五番勝負の日程

【第１局】６月６日

千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」

立会人　島　朗九段

【第２局】６月１８日

兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」

立会人　小林健二・九段

【第３局】７月３日

静岡県沼津市「沼津御用邸」

立会人　青野照市九段

【第４局】７月１８日

名古屋市中区「亀岳林　万松寺」

立会人　未　定

【第５局】７月２９日

新潟市西蒲区岩室温泉「高志の宿　高島屋」

立会人　未　定

■ＡＢＥＭＡ将棋チャンネルでライブ配信

五番勝負の全対局はインターネット動画配信サービス「ＡＢＥＭＡ」の将棋チャンネルで対局開始から終局までライブ配信される。視聴は無料。第１局の解説は飯島栄治八段と広瀬章人八段、聞き手は本田小百合女流三段と中村桃子女流初段。ＡＢＥＭＡプレミアム（有料プラン）向けに臨場感あふれるマルチアングルを楽しめる特別番組も配信される。検索は「ＡＢＥＭＡ　将棋チャンネル」で。