藤井聡太二冠(右)と対戦し、初手を指す谷川浩司九段=9月9日、大阪市福島区

(月刊将棋)谷川九段、悔やんだ「悲観」 名人戦・B級2組順位戦、藤井二冠戦:朝日新聞デジタル

ほぉ・・・


2020年10月3日 16時30分

藤井聡太二冠(右)と対戦し、初手を指す谷川浩司九段=9月9日、大阪市福島区
藤井聡太二冠(右)と対戦し、初手を指す谷川浩司九段=9月9日、大阪市福島区

第79期将棋名人戦・B級2組順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の4回戦が9月9日に指された。今期B級2組には25棋士が参戦。来年3月までに各10局指し、成績上位3人が一つ上のB級1組に昇級する。この日は、東京・将棋会館と大阪・関西将棋会館で各6局が指された。

■長考後に不意つかれ、攻め急ぐ

大阪で最も注目されたのは、藤井聡太二冠(18)と谷川浩司九段(58)という、いずれも中学時代にプロ昇格を勝ち取った「中学生棋士」の対決だ。先手の谷川九段の誘導で、戦型は両者得意の「角換わり腰掛け銀」に。

A図・▲4八飛まで
A図・▲4八飛まで

A図は、谷川が4九にいた飛車を1マス上に進め、▲4八飛と指した局面。「自分には浮かばない手でした」という藤井は1時間44分の長考に沈んだ。藤井は「具体的にどう指せば良いか分からなかった」と局後に長考の理由を明かした。結局、藤井が△6二金と待機すると、今度は谷川が1時間26分の長考で▲5五銀左と銀をぶつけた。「代えて▲4五歩からの仕掛けをかなり気にしていたので、(▲5五銀左は)意外でした」と藤井。40分間の夕食休憩をはさんで1時間32分の長考で、△6五桂。「代えて△5五同銀▲同銀としてから△6五桂も考えたんですが、先手陣が3八金・4八飛型で少し珍しい形で、正しい判断をするのが難しいと感じました」と局後に藤井。

3手重なった大長考は、2人の本局にかける熱意の証しだろう。

B図・△7五歩まで
B図・△7五歩まで

以下、谷川が▲6六銀と引いて、5七の地点を補強したのに対し、藤井が△7五歩と突いたB図。単に△8一飛と回る手を中心に読んでいた谷川は局後に「読みにない手を指され、『苦しくした』と思ってしまった。それが良くなかった」。後日にも「その悲観が、その後の攻め急ぎにつながりました」と悔やんだ。

△7五歩以下、本譜は▲同歩△8一飛と進行。ここで谷川は▲4五歩△同歩▲同銀と4筋で攻勢に出たが、最後の▲同銀が「暴発でした」。代えて、▲3五歩などで曲線的に攻めるべきだったという。本譜は銀交換の後、先手に継続手がなく、「銀を渡しただけに終わりました」(谷川)。

その後、藤井は銀、続いて角を谷川陣に打ち込んで一気に攻略。「諦めていた」谷川があっさりした順を選んだこともあり、76手という短手数で藤井が制勝。終局は午後10時38分。4連勝を飾った藤井は昇級に向け、前進した。10月21日の6回戦では村山慈明(やすあき)七段(36)と対戦する。(佐藤圭司)

〈指し手〉先手・谷川九段 ▲7六歩△8四歩▲2六歩△3二金▲2五歩△8五歩▲7七角△3四歩▲6八銀△7七角成▲同銀△2二銀▲4八銀△6二銀▲7八金△3三銀▲4六歩△7四歩▲4七銀△6四歩▲3六歩△7三桂▲6八玉△6三銀▲3七桂△4二玉▲2九飛△8一飛▲4八金△6二金▲9六歩△1四歩▲1六歩△5四銀▲9五歩△4四歩▲5六銀△3一玉▲3八金△4一飛▲6六銀△8一飛▲7七銀△4一飛▲4九飛△2二玉▲6六銀△5二金▲4八飛(A図)△6二金▲5五銀左△6五桂▲6六銀△7五歩(B図)▲同歩△8一飛▲4五歩△同歩▲同銀△同銀▲同桂△4四銀▲3五歩△4七歩▲同金△4五銀▲4六歩△3九銀▲1八飛△2九角▲5五角△3一玉▲6五銀△4七角成▲4五歩△6九金までで、藤井二冠の勝ち

■中田八段も無敗「一番一番戦う」

B級2組で藤井と共に無敗を守るのが中田宏樹八段(55)だ。東京での4回戦では畠山成幸八段(51)と対戦。相懸かりの後手番で戦機をつかみ、90手で押し切って4勝0敗とした。

26歳の時に王位戦で挑戦者になった経験を持つ実力者。今期は1、2回戦で、対振り飛車の新機軸であるエルモ囲いを用いて勝つなど、最近の流行にも対応して戦っている。

勉強法は以前からある棋譜並べと詰将棋。将棋ソフトは使わない。「ソフトを使うとそれに依存してしまう。自分の頭で考えないと」。B級2組以上のクラスでは谷川らに次いで4番目に年長だ。「20代、30代の時は『絶対に上がろう』と思ってやっていたが、今は『ちゃんと真剣勝負ができれば』と思ってやっている。これからも一番一番戦っていきたい」(村瀬信也)

情報源:(月刊将棋)谷川九段、悔やんだ「悲観」 名人戦・B級2組順位戦、藤井二冠戦:朝日新聞デジタル



谷川浩司九段 vs △藤井聡太二冠(棋譜DB

76手 6九金打まで、△藤井聡太二冠 の勝ち



 


  


畠山成幸八段 vs △中田宏樹八段(棋譜DB

90手 7三桂まで、△中田宏樹八段 の勝ち


 



へぇ・・・