通算1000勝に向け、現役続行が決まった桐山九段

【勝負師たちの系譜】タイトル戦でない“名ドラマ” 1000勝へあと5勝…桐山清澄九段、現役続行か引退か「究極の対局」 (1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト

桐山清純九段、竜王戦に限り現役続行


2020.8.1

通算1000勝に向け、現役続行が決まった桐山九段
通算1000勝に向け、現役続行が決まった桐山九段

【勝負師たちの系譜】

世間でも、今日の仕事が成功しなければ、即退職。成功すればあと何年か在職できる、という日はあるのだろうか。

将棋界にも定年制があり、この対局に負けると引退という一番がある。

定年とは、順位戦でC級2組から降級すると、フリークラスの棋士となり、10年もしくは60歳のどちらか早く来た時点で引退。また自らフリークラスに行った場合は、15年、又は65歳で引退というもの。

ただし降級した者は、規定の成績を取るとC2に復帰できる制度だ。

最近話題になったのはすでにC2から降級して、引退が決まっている桐山清澄九段(72)の最後の対局かもという、竜王戦5組、対井出隼平四段戦。敗れると6組に降級となって、即日引退。

ただし竜王戦は5組に残ると、もう1年だけ指せるという特例があり、引退が1年延びるのである。

この将棋を桐山は千日手を交え、振り飛車から穴熊の作戦で、若手に完勝した。「いぶし銀」と呼ばれ、タイトル4期、順位戦A級14期の実力者は、精神の強靭さも見せてくれた。

これで後1年間、竜王戦だけ指せる現役棋士となり、現在通算995勝だから、一棋戦だけで1000勝達成なるかが注目される。

もう一人紹介したいのが、私の弟弟子の中尾敏之五段である。

彼は2018年の8月に引退したのだが、最後の一年はフリークラス10年目で、C2に復帰できるかどうかの凄まじい戦いを演じたのだった。

復帰規定は、良い所取りでの成績が、30局以上で勝率6割5分以上というもの。9年間は全く届かない成績だったが、最後にきて佐藤康光九段に240手越えで逆転勝ちするなど、驚異の粘りを見せた。

そして皮肉にも2017年度最後の対局が、復帰なるか引退かの一番となり、棋王戦の青嶋未来五段戦を迎えた。

勝てば以後、最短でも13年(C2で3年、フリーで10年)の現役生活が保障される大勝負に、中尾は残念ながら好局を落とし、引退した。

「9年間、一度も勝ち越した年がなかったから、仕方ないです」と言った中尾の言葉は重かった。

将棋界にはタイトル争いでない場所にも、ドラマのような勝負が存在するのである。

■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

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厳しい勝負の世界。