将棋YouTuber「アゲアゲさん」折田翔吾アマ、悲願のプロ入り決定! 編入試験五番勝負で3勝1敗 史上4人目の快挙

将棋YouTuber「アゲアゲさん」折田翔吾アマ、悲願のプロ入り決定! 編入試験五番勝負で3勝1敗 史上4人目の快挙 | AbemaTIMES


2020年2月25日 21時12分

将棋のアマチュアの強豪で「将棋ユーチューバー」としても活動する折田翔吾さんが、プロ入りを目指して挑んでいた編入試験に合格し、現在の編入制度で2人目のプロ棋士が誕生することになりました。

大阪府の折田翔吾さん(30)はふだんは将棋講師として働くアマチュアの強豪で、インターネット上で自身の対局映像を配信する「将棋ユーチューバー」としても活動しています。

折田さんは去年、プロ棋士を相手にした対局で「10勝2敗」の好成績をあげたことでプロへの編入試験の受験資格を満たし、11月から試験の五番勝負に挑んでいます。

試験はプロ棋士と5回対局してこのうち3勝すれば合格するというルールで、ここまで2勝1敗とした折田さんは25日、東京の将棋会館でプロ入りをかけた第4局に臨みました。

相手は八大タイトルの1つの「棋王戦」で今期の挑戦者にもなっている本田奎五段(22)で、折田さんは3時間の持ち時間を先に使い切って1分将棋となりましたが、午後6時12分、161手までで本田五段を投了に追い込み、3勝1敗の成績で編入試験の合格を決めました。

現在の編入試験の制度は平成18年に設けられ、折田さんはこの制度を通過した2人目の棋士として、ことし4月1日付けでプロ入りを果たすことになりました。

折田さんは対局のあと、「2、3年前の状況からすると信じられないという感じです。重みを感じないように、できるだけ気楽に、応援してくれる人の期待にも応えたいと思って指しました」と話していました。
将棋界から祝福の声
折田さんがプロ入りを決めたことについて、将棋界から祝福のコメントが寄せられています。

このうち日本将棋連盟会長の佐藤康光九段は「このたびの棋士編入試験の合格、誠におめでとうございます。4局とも見事な戦いぶりでした。ご自身の個性を生かされ、棋士として、将棋界の枠を超えた活躍を期待しております」とコメントしています。

平成17年に特例としてアマチュアからプロ入りを決め、現在の編入試験制度ができるきっかけを作った瀬川晶司六段は「折田さんおめでとうございます。プロ編入の先輩としてとてもうれしいです。彼のすばらしい戦いぶりに勇気づけられた方も多かったのではないでしょうか。私も励みになりました。プロどうしとしての対戦を楽しみにしています」と健闘をたたえています。

また現在の編入試験をこれまでにただ1人通過して、41歳でプロ入りを果たした今泉健司四段は「折田君、おめでとう。自分の力を信じて戦い、勝った事、本当にすばらしいです。そして、これからが本当の勝負。将棋で勝っていくことは当然だけど、それ以上にやるべき事はファンの皆様に愛される棋士になる事だと思います。棋士それぞれに課された役割があります。折田君でしかできない事をしっかりやっていって、将棋界にお互いしっかり尽くして行きましょう」とエールをおくっていました。

悲願のプロ棋士に

折田さんにとって将棋のプロ棋士になることは、一度は諦めかけたものの、それでも追い続けた悲願でした。

将棋のプロ棋士になるには原則として日本将棋連盟の養成機関「奨励会」に入り、会員どうしの対局で上位の成績を収めて「四段」に昇段する必要があります。

しかしプロへの道は狭く、原則として、四段に昇段できるのは半年に2人で、最長でも29歳で退会しなければなりません。

折田さんも奨励会に所属し、高校を中退してまでプロ入りを目指していましたが、年齢制限によって26歳で退会を余儀なくされ、プロの夢は一度は遠ざかりました。

当時の心境について折田さんは「将棋しかやってこなくてほかに何もない状態で、高校も卒業していなかったので、率直に言うと『死んだな』という感覚でした」と振り返っていました。

折田さんはそれでもオンラインの将棋教室で生計を立てながらプロへの夢を抱き続け、アマチュアの全国大会で優勝してプロとの対局を重ねる中で、編入試験のチャンスをつかみました。

この試験は奨励会とは別の方法でプロになれる制度で、直近のプロ棋士との対局で「10勝以上」かつ「勝率6割5分以上」という条件を満たせば受験資格が得られます。

この制度が誕生するきっかけとなったのが、瀬川晶司六段(49)が平成17年に特例として臨んだ編入試験で、この時はプロ棋士を相手に高い勝率をあげていた当時アマチュアの瀬川さんが日本将棋連盟にプロ入りを認めてほしいと訴え、特別に行われた試験に合格してプロになりました。

この特例を受けて、翌年に現在の編入試験が制度化されましたが、これまでに試験を通過したのは平成27年に41歳でプロ入りを果たした今泉健司四段(46)ただ1人でした。

折田さんは去年8月までにプロを相手に「10勝2敗」の好成績をあげたことで試験のチャンスをつかみ、今回、その試験を見事通過して悲願のプロ入りを果たしました。

折田さん「『アゲアゲ物語』第1章が終わり」

折田さんは対局のあとの記者会見で「信じられないというのが正直なところで、自分が望む夢を見させられているような感覚です。自分が棋士になれるというのは本当に不思議な感覚です」とプロ入りを決めた心境を語りました。

また奨励会を退会しても追い続けたプロ棋士の夢については「奨励会に入った時から数えると16年ほどたっていて、長い間憧れとして目指していたもので、とても大きなものでした。退会後も将棋を続けたいとは思っていましたが、棋士になることは遠い夢と感じていました」とこれまでの思いを振り返っていました。

そして、アマチュア時代に続けてきた「将棋ユーチューバー」としての活動については「思いつきで始めましたが、やってみたら反響もいただけて、それが、奨励会の退会後に自分が将棋に取り組むモチベーションにつながって、非常に大きなものでした。これからもそうした動画などを発信して多少でも目立てればいいなと思います」と話していました。

最後に今後について「今回の編入試験では注目していただいて、幸せなことです。またこういう大きな舞台に立ちたいです」と述べたうえで、自身のユーチューブのチャンネル名である「アゲアゲ将棋実況」にからめて「きょうで『アゲアゲ物語』の第1章が終わりということで、第2章、第3章へと続いていきたいです」と意気込んでいました。

情報源:「将棋ユーチューバ―」折田さん プロ棋士に | NHKニュース