渡辺三冠、V字復活のわけは 17年度負け越し→18年度勝率8割、今年度も好調 将棋:朝日新聞デジタル

ふむ・・・


2019年7月29日16時30分

棋聖奪取後、感想戦に臨む渡辺明三冠=9日、新潟市西蒲区、村上耕司撮影
棋聖奪取後、感想戦に臨む渡辺明三冠=9日、新潟市西蒲区、村上耕司撮影

今月9日に棋聖を獲得し、将棋界で現在最も多くのタイトルを保持する渡辺明三冠(35)=棋王・王将・棋聖。2017年度は年度成績で初めて負け越すなど不振続きだったが、1年でトップの座に返り咲いた。そのV字回復の要因は何だったのか。

■新しい指し方研究、迷いなくなった

2017年度はA級順位戦から陥落し、勝率は4割3分8厘とプロ入り以来初めて5割を切った。不振の原因について渡辺は次のように振り返る。

「今は金銀を左右にバランスよく配置するのが主流ですけど、昔は玉をガチガチに固めて、多少ミスが出ても大丈夫というやり方でした。楽しようとしていたんです。でもその指し方がちょっと通用しなくなってきた。守りは薄くてもノーミスで乗り切るんだっていうのが今のトレンド。その新しい指し方を自分は否定的に見ていた。簡単には乗り換えられなかった」

しかし18年度は一転、15連勝を記録するなど勝率は8割に。A級に復帰し、タイトル戦では王将を取って二冠となり、続けて棋王も防衛した。さらに今夏の棋聖戦では豊島将之名人(29)からタイトルを奪い、6年ぶりに三冠に返り咲いた。

V字回復について渡辺は「負けながら考えていたことに成果が出始めた。フォーム(戦術)が固まって迷いがなくなった」ことを理由に挙げる。「こういう戦法を指してこうやればある程度勝てるというのが分かってきた。AIを使っての研究はきりがなく、どこかで切り上げなきゃいけない。そのやり方も分かってきた」と話す。

今年度もこれまで11勝2敗(未公表の対局を除く)で勝率は8割を超える。竜王戦ではランキング戦1組で優勝し、挑戦者決定戦進出をかけて次は豊島名人と対戦する。

■プライドが今の原動力

棋聖戦五番勝負では6歳年下の豊島名人を3勝1敗で破った。たとえ敗れてもタイトルを失うわけではなかったのだが、決着後、感想を聞かれた渡辺は意外な言葉を口にした。

「自分の方が若ければ、ダメでもまた次がある。年下に挑んでいくというのは年々こっちが厳しくなる。挑戦者という立場でも余裕はなかったですね」

タイトル保持者で最年長となった渡辺は、自身の年齢や世代交代について強く意識している。棋聖戦の開幕前に行ったインタビューでは「羽生(善治)さんのように30年弱もタイトル戦に出続けられればいいがちょっと難しい。僕もあと5年くらいで40代になる。40代って大変な時期だし、勝てなくなる時期は必ず来る」と、年を重ねることへの危機感を口にした。

藤井聡太七段(17)とタイトル戦を戦う可能性についても「僕と羽生世代は14歳差ある。藤井君とはそれより大きい18歳差なので、ぎりぎり戦えるかどうか。10年、20年にわたって戦い続けるという年齢差じゃない。あと20年も自分はもたないし、タイトル戦で交わるところは少ないと思う。自分があと何年辛抱できるかというところですね」と語っていた。

今の原動力は「現在の地位から落ちたくない」という「プライド」だと言う。

「10代のときは分からなかった。棋士は数字の部分でしか評価されないですから。常にタイトルを持っているということが最大のモチベーションです」

2004年12月に初タイトルを獲得してから来年夏の棋聖防衛戦まで、タイトル連続保持期間が15年を超える。故大山康晴十五世名人の14年10カ月を抜き、羽生九段の27年9カ月に続く2位になる。「さすがに羽生さんの連続27年とは思わないですけど、羽生さんの次の2位に上がったのはうれしかったですね」(村上耕司)

情報源:渡辺三冠、V字復活のわけは 17年度負け越し→18年度勝率8割、今年度も好調 将棋:朝日新聞デジタル



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