詐欺電話 被害者は受けた時点でだまされている 警察庁調査

詐欺電話 被害者は受けた時点でだまされている 警察庁調査 | NHKニュース

ふむ・・・


2019年2月21日 15時27分

詐欺グループの電話を受けた時点ですでにだまされている…。「オレオレ詐欺」の電話にだまされた人たちの共通の心理が警察庁が行った大規模な調査で明らかになりました。

詐欺電話 被害者は受けた時点でだまされている 警察庁調査
詐欺電話 被害者は受けた時点でだまされている 警察庁調査

警察庁は去年8月から11月にかけて「オレオレ詐欺」の電話を受けた人を対象に調査を行い1099人から回答を得ました。

このうち、実際に現金をだまし取られた被害者に電話の内容を信じたのはどのタイミングだったか尋ねたところ、「トラブルを聞く前」と回答した人が全体の70.3%を占め、「聞いた後」と答えた人を大きく上回りました。

また、被害に遭わなかったものの電話を信じてしまった人も大半が「トラブルを聞く前」に信じていました。

その理由については、いずれも「息子などの声にそっくりだったから」が最も多く、詐欺グループが語るうそのトラブルとは関係なく、電話を受けた時点ですでにだまされていることが伺えます。

さらに、実際に現金をだまし取られた被害者に特殊詐欺の被害に遭うと思っていたか尋ねたところ、「遭わないと思っていた」と答えた人は78.2%に上り、「どちらかといえば被害に遭わないと思っていた」と回答した人も加えると、ほとんどの人が自分が被害に遭う可能性は低いと考えていました。

今回の調査結果について、警察庁は「詐欺を見破れない可能性が誰にでもあることを示していて、詐欺グループからの電話に最初から出なくて済む対策を取る必要がある」として、迷惑電話防止の機能が付いた電話機の活用などをさらに呼びかけることにしています。

電話受けた女性「パニックになり簡単にだまされた」

都内のアパートで1人暮らしをしている71歳の女性は、去年の夏、自宅で、地元の警察署の警察官を名乗る男から電話を受けました。

男が「息子さんがかばんを無くして、被害届を出しにきた」などと説明したのに続き、女性の息子を名乗る男が電話に出てきました。「警察」ということばに「子どもに何が起きたのか」と気が動転した女性は、息子をかたる男の声が実際よりも若いと感じたにもかかわらず、「かばんに小切手が入っていた」などという話を信じてしまったということです。

女性はこの時の心情について「声も違う相手をなぜ息子と思ったのか今も説明できない。パニックになって、ずるずると相手の話に引きずられてしまった」と話しています。女性はその後、息子役の男から現金数百万円を用意するよう言われました。

警察官役の男ともう一度連絡を取ろうと警察署に電話したところ、詐欺だったことが分かり、被害を免れたということです。

女性は「オレオレ詐欺のことは知っていたが、自分とは無関係だと思っていた。こんなに簡単にだまされるものだとは思ってもいなかった」と話しています。

専門家「詐欺の手口を知っていても防げない」

今回の調査結果について特殊詐欺の被害者の心理を研究している立正大学の西田公昭教授は「誰も日常の電話の相手が偽物だとは想定しておらず、息子だと言われれば、そう信じるところから被害が始まってしまう。多くの人が電話がかかってきても息子の声なら聞き分けられると過信していて、振り込め詐欺などの特殊詐欺が手口を知っているだけでは防げない犯罪だということを調査結果は明らかにした」と述べています。

そのうえで、「だまされるかもしれない、息子の声を聞き分けられないかもしれないと認識してもらえるような対策を加えていくことが大事だ」と指摘しています。

調査結果の詳細

警察庁が行った調査結果の詳細です。

調査は期間が去年8月から11月までの4か月の間にオレオレ詐欺の電話を受けた人を対象に各地の警察を通じて面接形式で行い、1099人から回答を得ました。

内訳は、
▼実際に現金をだまし取られた被害者が354人
▼電話にはだまされたものの金融機関の職員の声かけなどによって被害を免れた人が187人
▼家族や親族が電話のうそを見抜いて被害に遭わなかった人が130人
▼自分自身で電話のうそに気付いて被害をまぬがれた人が428人
です。

手口を知っているだけでは防げない

調査結果によりますと「詐欺の電話を受ける前にオレオレ詐欺の手口を知っていたか」という質問に対して、4つのグループいずれも「知っていた」と回答した人の割合が、それぞれの全体の96%台から97%台とほとんど変わらず、事前に手口を知っていたかどうかは被害とは直接関係しないことが分かります。

「自分は大丈夫」が危ない

次に、「詐欺の電話を受ける前に被害に遭う可能性についてどう思っていたか」については「自分は被害に遭わないと思っていた」と回答した人が、実際に現金をだまし取られた被害者、金融機関の職員の声かけなどによって被害を免れた人、家族や親族が電話のうそを見抜いて被害に遭わなかった人でそれぞれ70%を超えていましたが、みずから電話のうそに気付いた人では56.8%にとどまり、大きな開きが出ました。

だまされた人は電話を受けた時点で内容を信じている

電話の内容がうそと気付いたタイミングについては、自分自身で電話のうそに気付いて被害を免れた人の44.8%が電話を受けた時点で詐欺であることに気付いていた一方で、実際に現金をだまし取られた被害者では電話を受けた時点で内容を信じてしまった人が70.3%に上ったほか、金融機関の職員の声かけなどによって被害を免れた人が66.3%、家族や親族が電話のうその見抜いて被害に遭わなかった人が68.2%と高くなっていました。

信じてしまった理由については、いずれのグループでも「息子などの声にそっくりだったから」が最も多く、次いで、「相手の話をもっともだと感じたから」などとなっています。

「誰かに話す」が重要

また、電話を受けたあと、家族や親族がうそを見破り、被害に遭わなかった人の76.2%が電話を受けたあと、誰かに話をしている一方で、被害に遭った人の75.1%が誰にも相談していませんでした。

家族や親族と相談することが被害防止のために効果的で、被害者になる可能性の高い高齢者だけでなく、その子どもや孫世代も含めて家族間で小まめに連絡を取り合うことが被害防止につながる可能性があることが伺えます。

金融機関 より踏み込んだ対応が効果的

さらに、被害に遭った人の27.7%が金融機関などで現金を送るのを思いとどまるよう声をかけられていたにもかかわらず、現金をだまし取られていました。

声かけの状況について、被害の阻止につながった場合とつながらなかった場合を比較しますと、「お金の使いみちを聞かれた」、「資料を示された」といった対応では被害の阻止に至らなかったことが少なからずあった一方で、「親族に連絡を取った」、「警察官が来た」、「応接室など別の場所に案内された」などの対応では被害の阻止につながっていることがあり、警察と金融機関が連携して、より踏み込んだ対応を行うことが被害防止に効果的だということが認められます。

情報源:詐欺電話 被害者は受けた時点でだまされている 警察庁調査 | NHKニュース


はぁ・・・