縁起担ぎ 勝敗決めず対局 藤井七段ら棋士たちの新年:朝日新聞デジタル

ふむ・・・


2019年1月10日12時59分

新年の一門の研究会で藤井聡太七段(手前右)と対局する杉本昌隆七段(手前左)=2019年1月4日、名古屋市東区、杉本昌隆七段提供
新年の一門の研究会で藤井聡太七段(手前右)と対局する杉本昌隆七段(手前左)=2019年1月4日、名古屋市東区、杉本昌隆七段提供

杉本昌隆七段の「棋道愛楽」

明けまして、おめでとうございます。今年も本欄をよろしくお願いいたします。

将棋の世界では毎年1月5日に「指し初め式」があります。会社での「仕事始め」のようなもので、棋士や棋戦を主催する新聞社などのスポンサー、将棋関係者が集まります。

東京では、まず将棋会館の近くの鳩森(はとのもり)八幡神社で「将棋堂祈願祭」があります。将棋連盟会長やタイトルホルダーらが集まり、将棋界の発展や棋力向上を祈る儀式が厳粛に行われます。

指し初め式は一対一の対局形式。棋士や関係者がリレー将棋のように数手ずつ交代で指し進めます。新年の縁起ものなので、勝負を決する終局までは指さないのが暗黙の了解です。

私や藤井聡太七段が所属する関西将棋会館での指し初め式はやや趣が異なります。将棋盤が複数並べられ、好きな場所、相手を選んで対局します。交代するタイミングも自由。白熱する勝負に、終局まで指してしまった参加者もいたとか。いかにも関西らしいアットホームさです。

公式戦で対局する機会がない女流棋士と盤を挟むこともあります。私も弟子の和服姿の室田伊緒女流二段と対局したことがあります。

その後の食事会では軽食やお酒が出され、ちょっとした新年会のようです。会が終わるまでお酒や会話を楽しむ棋士や、早々に退出して別室で研究会を進める棋士など。いかにも個性派の集団だと改めて感じます。

さて、東海地区ではどうでしょう。将棋会館がないので公の集まりはありませんが、私は毎年お正月に一門の棋士や奨励会の弟子たちを集めて新年の研究会を開いています。

未成年の弟子には、お年玉を渡すのが杉本一門の恒例です。私自身、師匠の故板谷進九段から「今年も頑張れよ」の一言とともに毎年お年玉をいただいていました。渡す立場になって分かりましたが、これは師匠側の楽しみの一つでもあるのです。

藤井七段にも小学4年のころから毎年お年玉を渡しています。棋士になった今は? 本人は遠慮していますが、今も渡しています。藤井七段が学生のうちは続けるつもりです。

一時期は弟子たちと新年の抱負を発表し合っていましたが、年齢も立場も皆違うので最近は自粛。しかし全員勝負師ですから「今年は全勝」が目標であるはずです。

棋士の本当の仕事始めは対局の日。年明けは重要な対局が続くことが多く、実は棋士に正月休みはありません。大みそかや元日に、棋士仲間や弟子と研究会を開くことも珍しくありません。

読者の皆様も、良き一年になりますように。

すぎもと・まさたか 1968年、名古屋市生まれ。90年に四段に昇段し、2006年に七段。01年、第20回朝日オープン将棋選手権準優勝。藤井聡太七段の師匠でもある。

情報源:縁起担ぎ 勝敗決めず対局 藤井七段ら棋士たちの新年:朝日新聞デジタル


ほぉ・・・