「○○虫」すごいぜ!億単位の経済効果?

「○○虫」すごいぜ!億単位の経済効果? | NHKニュース

ほぉ・・・


奈良といえばシカを思い浮かべる方が多いと思います。そのシカと関係の深い、ある昆虫が、いま人気を集めています。愛好家はこの昆虫のおかげで億単位の経済効果がもたらされているといいます。いったいどんな虫なんでしょうか。

まるで宝石!「ふん虫」

「○○虫」すごいぜ!億単位の経済効果?
「○○虫」すごいぜ!億単位の経済効果?

奈良市に、この夏、ある施設がオープンしました。
内装はジュエリーショップを思わせるデザイン。でも、スポットライトを浴びるのは宝石ではありません。昆虫です。

動物のふんをエサにしているコガネムシ・ふん虫を集めた施設です。

この「糞虫館」には、世界各地のふん虫250種類が展示されています。赤や青・緑など、色とりどりに輝くふん虫は、子どもからお年寄りまで、幅広い層に人気です。
「いろんな色があってきれい」「きらきらしていて宝石みたい」

奈良公園は「ふん虫の聖地」

「○○虫」すごいぜ!億単位の経済効果?
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「糞虫館」は、奈良公園の近くにあります。館長の中村圭一さんに奈良公園を案内してもらうと、ふん虫が次々と見つかります。

代表的なふん虫は、その名のとおり瑠璃色に輝く「ルリセンチコガネ」です。大きさは2センチほど。

米粒ほどの大きさしかないふん虫もいます。
奈良公園で最も多く見られるふん虫「マグソコガネ」の仲間です。中村さんによりますと、奈良公園には50種類ものふん虫が生息しています。「ふん虫の聖地」と呼ばれているそうです。

「これだけのきれいな虫が、みなさんのすぐ足元にいるわけで、ちょっと存在を知っていただければ、素晴らしい出会いがあります」(中村さん)

ふん虫に心奪われて

「○○虫」すごいぜ!億単位の経済効果?
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中村さんがふん虫に出会ったのは、中学2年の時です。偶然、ふん虫の標本を目にしたとき「きれいでかっこいい」と心奪われたといいます。

以来、中村さんは、奈良公園に通い詰めるようになりました。シカのふんを集め、そこに群がってくるふん虫を観察し、自由研究のコンクールで奈良県知事賞を受賞したこともあります。

「○○虫」すごいぜ!億単位の経済効果?
「○○虫」すごいぜ!億単位の経済効果?

その後、中村さんは京都大学を出て金融機関に就職しましたが、ふん虫への思いは募るばかりでした。おととし早期退職し、退職金の一部を使って始めたのが「糞虫館」です。

ふん虫すごいぜ!

「○○虫」すごいぜ!億単位の経済効果?
「○○虫」すごいぜ!億単位の経済効果?

中村さんは、ふん虫のすごさを多くの人に知ってほしいと考えています。シカが奈良公園の至る所で落とすふんは、合わせて1日1トンにもなります。この大量のふんを食べているのが、ふん虫たちです。

ふん虫のおかげで、奈良公園はふんだらけになりません。悪臭やはえの発生も抑えられます。公園を管理する奈良県は、ほとんど掃除する必要がありません。

その価値23億円!?

元金融マンの中村さんは、ふんを人の手で集めた場合、どれくらいの費用がかかるか試算しました。

広さ660ヘクタールの奈良公園を掃除するのに、毎日1000人の人手が必要と考えると、その経済効果は、23億円余りにもなります。

「奈良と鹿は結びついている。それくらいふん虫も、奈良と密接に結びついている。大仏様、シカ、ふん虫、この3つ目のスターとして、奈良の観光の第3の柱として、奈良公園のふん虫を広めていきたい」(中村さん)

奈良観光を足元で支えるふん虫の美しさとすごさに、皆さんも触れてみてはいかがでしょうか。興味を持った方に、1つ注意があります。奈良公園のふん虫のうち「ルリセンチコガネ」は県の条例で保護されています。観察するのは問題ありませんが捕獲はできません。

「糞虫館」は土曜・日曜の午後1時から午後6時にオープンしています。入館料は大人300円、子ども100円です。

情報源:「○○虫」すごいぜ!億単位の経済効果? | NHKニュース


2018.11.14 11:00

シカの糞を巣穴まで運ぶオオセンチコガネ=奈良市の奈良公園
シカの糞を巣穴まで運ぶオオセンチコガネ=奈良市の奈良公園

約1200頭ものシカが生息する奈良市の奈良公園。排泄(はいせつ)される糞(ふん)の量も半端ではなく1日1トン余りに上るが、観光客でにぎわう園内は比較的きれいに保たれている。実はこの糞を掃除しているのは、「糞虫(ふんちゅう)」と呼ばれる昆虫たちだという。糞を食べて自然界に還す働きをしており、名前はグロテスクだが、見た目は光沢を放つ体を持つ美しい虫だ。この糞虫に魅せられ研究を続けてきた奈良市の男性がこの夏、同市内に私設博物館「ならまち糞虫館」をオープン。観光客や昆虫ファンが詰めかけ、新しい名所になりつつある。(神田啓晴)

瑠璃色に輝く“宝石”

糞虫とはその名の通り糞を食べる昆虫。コガネムシの一種で、ファーブル昆虫記で有名なフンコロガシをはじめ、国内では150種以上が確認されている。奈良公園ではシカの糞を食べて分解しており、細かく砕かれた食べかすは土中で養分にもなる。

ならまち糞虫館をオープンしたのは、中小企業診断士の中村圭一さん(54)。中学時代から糞虫に興味を持ち、個人で研究してきた人物だ。

中村さんによると、自然環境が保たれ、シカが数多く生息する奈良公園周辺は糞虫が生きていく条件に適しており、約50種類が観察できるという。まさに「糞虫」の聖地といえる。

中村さんに案内され、糞虫のいる奈良公園周辺の林に足を運んだ。「まずは糞を探しましょう」。糞虫の多くはやはり、動物の糞の周辺に集まるらしい。足下に注意しながら慎重に歩みを進め、糞を見つけては小枝やピンセットで糞虫がいないかどうか確認する。5分ほどして「いましたよ」と中村さんが声を上げた。

朽ち木の裏に潜んでいたのは「オオセンチコガネ」といい、赤、青、緑などの金属光沢を帯びているのが特徴だ。紀伊半島を中心に生息している個体は、瑠璃色の体表から「ルリセンチコガネ」とも呼ばれる。落ち葉の下などでのそのそと動くオオセンチコガネを10匹以上も発見。瑠璃色や緑色に輝くさまはまるで「森の宝石」のようだ。

体長6センチの巨体も

奈良公園から南西に約1キロ。古民家が立ち並ぶ旧市街地の路地裏に「ならまち糞虫館」はある。展示されているのは、中村さんが国内外で収集した約100種の標本だ。

「若い人が入りやすいよう明るい雰囲気にしたかった」と、内装は清潔感あふれる白で統一。昆虫の博物館とあって、ガラスケース内にずらりと並ぶ標本を想像していたが、青や紫、水色といったカラフルなスポンジボールに、糞虫の標本がちょこんと載せられていた。

標本は、体長3ミリ前後と米粒のような個体もあれば、6センチ前後の大型のものも。南米原産の「ニジイロダイコクコガネ」や、体長4センチながらゾウの糞を転がすアフリカの「スネブトタマオシコガネ」といった希少種も展示している。LED(発光ダイオード)ライトで照らすと、光沢の美しさが際立ち、角のフォルムもよく分かる。

脱サラし、地元へ

物心がついた頃から、昆虫好きだったという中村さん。糞虫との出合いは中学2年の夏、同級生が持って来た標本だった。「自分の知らないきれいな昆虫がいた。聞いてみると『奈良公園で捕れるで』と…」

これをきっかけに光り輝く糞虫の魅力にはまり、高校に入学すると昆虫同好会を創設。シカの糞をかき集め、飛来した糞虫を24時間観察し、奈良公園での糞虫の生態を調査した。独自の研究は評価され、日本学生科学賞の県知事賞を受賞した。

進学した京都大農学部ではバイオテクノロジーを研究。卒業後は農林中央金庫に就職し、中国での拠点立ち上げや東日本大震災の被災企業支援など多忙な業務の傍ら、趣味として台湾や中国、カンボジアなど海外でも糞虫観察を継続。同僚と酒を酌み交わしながら「いつかは奈良に糞虫館をつくる」と夢を語っていたという。

50代になり、仕事が現場からデスクワーク中心にシフトしたのをきっかけに「この先の人生、どうせなら好きなことをやっていきたい」と一念発起。平成28年6月に早期退職し、地元の奈良に戻った。

長年の夢かなえ

糞虫館構想の足がかりとなったのが、昨年7月に奈良市役所で開催した糞虫標本の展覧会だ。4日間で延べ約300人の来場者を集め、担当の市職員にも「すごい反響だった」と驚かれたという。「自信が確信に変わった瞬間だった」。中村さんは振り返る。

糞虫館は古い民家を改装して今年7月8日にオープンした。空き家対策として市から補助金を受けたほか、私財も投入。中村さんは、平日は本業の中小企業診断士として経営相談などを行い、週末は奈良公園にフィールドワークに出かけた後、糞虫館の館長として来館者を出迎える。

「そんなとこ、誰が来るんや」。かつては仕事の同僚に冗談交じりに笑われることもあったが、今では昆虫愛好家のみならず家族連れや若者も多数訪れ、奈良の新名所となりつつある。

子供向けの課外授業にも力を入れる中村さん。「糞虫館を通じ、奈良公園の環境保全にも興味をもってほしい。将来は(世界各国の昆虫標本約10万点を収蔵する)同じ奈良県にある橿原市昆虫館に肩を並べるような大きな博物館にしたい。それが今の夢ですね」と語った。

ならまち糞虫館

奈良市南城戸町28-13。営業時間は土日曜の午後1~6時。入場料は大人300円、子供100円。

情報源:奈良公園で鹿の糞を食べる 「糞虫」に魅せられた男(1/4ページ) – 産経ニュース




へぇ・・・