【関空不全~台風21号の爪痕(下)】発着制限、国内線のみ…関西3空港の役割再考(1/3ページ) – 産経WEST

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関西3空港の運用規制と振り分け後の運用
関西3空港の運用規制と振り分け後の運用

「神戸空港は24時間空港で余裕がある。いずれ規制緩和は必要になる」。台風21号が上陸する約1カ月前の8月1日、8府県と政令市で構成する関西広域連合と関西経済連合会の意見交換会の後、広域連合の井戸敏三連合長(兵庫県知事)は報道陣にそう語っていた。

関西国際空港と大阪(伊丹)空港、神戸空港の3空港のあり方をめぐり、井戸氏は神戸空港の規制緩和に意欲的な姿勢を示す。

現在、3空港は、地元自治体や財界でつくる関西3空港懇談会が平成17年に合意した基本方針に沿って運営されている。「関空は国際拠点空港、伊丹は国内線の基幹空港、神戸は地方空港」と役割分担を明確にした内容だ。

これにより、運用時間は神戸空港は「午前7時~午後10時」、1日発着枠は「60便」という規制を設け、伊丹は「午前7時~午後9時、1日370便」に制限。両空港とも国際定期便は就航していない。伊丹周辺の騒音問題や、かつて利用者が伸び悩んでいた関空の経営を安定させるための配慮が背景にある。

関経連の松本正義会長(住友電気工業会長)は意見交換会で「スペース(空域)に限りがあり、何でも飛ばせるわけではない」と慎重な議論を求め、井戸氏とは規制緩和をめぐる温度差があった。

看過できぬ被害

しかし、3空港の役割の再考を強く促す災害が起きた。台風21号で関空が被災、関西の海外からの空の玄関口が閉ざされた。

浸水した第1ターミナルビルとA滑走路が再開しても、本格的な再開までは時間がかかるとみられたため、国土交通省は、国際線を含めて伊丹に40便、神戸に30便を例外措置として、振り分けることを決定。すぐに「関西全体の立場からみても看過できない」と受け入れを表明した井戸氏も、神戸空港が「必要」とされる事態がこれほど早くやってくるとは想像しなかったに違いない。

地元と議論必要

「関西の国際空港が関空1つというリスクがあまり議論されてこなかったのは反省点だ」。関西学院大の上村敏之教授(公共経済学)はこう話す。3空港の基本方針の見直しに向けて本格的議論が進むかどうかに関心が高まっている。

経済成長に伴う所得の増加でアジア圏からの海外旅行客が急増。関空の旅客数は23年度の1386万人から、昨年度は2倍以上の2880万人までふくらんだ。旅客数が増え続ければ、いずれ関空で収容し切れなくなる。大阪観光局の溝畑宏局長は「3空港の機能強化への議論は避けられないと思う。現在の3空港(の運営体制)では受け入れは厳しい」と指摘する。

ただ 神戸、伊丹での国際線の定期運航と増便は簡単ではない。

伊丹は関空開港に伴い、国際線の定期運航を停止。海外の航空会社の多くは伊丹や神戸に拠点がなく、システムや人員配置、地上支援業務の体制を一から整えるには時間やコストがかかる。なにより、伊丹では空港騒音に苦しむ住民の反対が必至だ。

「今後、関西3空港の役割分担や運用の見直しをする場合は、地元による新たな合意が必要となる。関西エアの意向も踏まえて、地元による議論が必要だ」。石井啓一国土交通相は11日の記者会見で述べた。

成田、羽田という2つの国際空港を抱える首都圏と同様に、関西にも複数の国際空港が必要な時代になったのか。訪日外国人客が急増する中で起きた関空の機能不全は、航空行政に課題を突きつけている。

(関空問題取材班)

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