日本画家 平山郁夫さんの未公開作品確認 若き日の11点

日本画家 平山郁夫さんの未公開作品確認 若き日の11点 | NHKニュース

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9年前に亡くなった、戦後を代表する日本画家、平山郁夫さんが若き日に描いた未公開と見られる作品が、専門家の調査で確認されました。平山さんが生涯のテーマとした、シルクロードを描いた最も早い時期の絵画もあり、注目を集めそうです。

日本画家 平山郁夫さんの未公開作品確認 若き日の11点
日本画家 平山郁夫さんの未公開作品確認 若き日の11点

平山郁夫さんは、仏教やシルクロードなどをテーマに活躍した戦後を代表する日本画家で、9年前、79歳で亡くなりました。

平山さんから絵を学んでいたという女性の遺族が11点の絵画を保管していることを、千葉県の柏市教育委員会が知り、専門家に調査を依頼したところ、平山さんが20歳前後から30代後半にかけて描いたと見られる作品だと確認されました。このうち10点は、一般には知られていない未公開の作品と見られています。

中でも50年ほど前にウズベキスタンの古都、サマルカンドのモスクなどを描いた3点は、シルクロードをテーマにした最も早い時期の作品で、平山さんの出発点を示す貴重な資料として注目を集めそうです。

調査に当たった平山郁夫シルクロード美術館の平山東子副館長は、「これだけ多くの作品が未公開という形で出てきたことは驚きです。初期の制作の状況を知るうえで大変貴重だ」と話しています。

確認された未公開作品

今回、確認された絵画11点は、平山郁夫さんに絵を学んでいたという東京の女性の遺族が保管していたものです。それを知った千葉県の柏市教育委員会の担当者が借り受け、専門家に調査を依頼したところ、すべてが平山さんの作品と確認されました。

作品には、平山さんが20歳前後のときに描いたとみられる、おびなやめびな、墨一色で表現された騎馬武者や中国の神=鍾馗(しょうき)などがあります。

また「湖」というタイトルがつけられた絵には静かな表情の女性が、厚手の上着を身につけて座っている様子が描かれています。

注目されるのは、平山さんが生涯のテーマとした「シルクロード」の様子を描いた作品です。このうち「シルクロードの遺跡(サマルカンドビビ・ハヌイム)」は、昭和43年8月の作品で、ウズベキスタンの古都で“青の都”とも呼ばれるサマルカンドのモスクを描いています。遺跡に映える青いタイルなどが印象的なパステル画で、平山さんは、平成6年にもほぼ同じ構図の作品を残しています。

昭和41年9月の日付がある「トルコベリシラマ村の女」は、民族衣装を身に着けた女性の姿を淡い色合いで描いた作品です。

いずれも平山さんがシルクロードをテーマに描いた最も早い時期の絵画で、平山郁夫シルクロード美術館の平山東子副館長は「終生のテーマに出会ったときの感激や情熱が込められているという印象を受けた。平山郁夫の出発点ともいえる作品だ」と話しています。

柏市教育委員会は、平山さんが亡くなって10年となる来年、今回の作品を紹介する展覧会を開きたいとしています。

日本画家平山郁夫さんとは

平山郁夫さんは、広島県尾道市の出身で、15歳のとき勤労動員されていた広島市内で被爆しました。

今の東京藝術大学に進み、日本画家の前田青邨から教えを受けた平山さんは昭和34年、被爆の後遺症に悩まされながら描いた作品、「仏教伝来」で一躍、脚光を浴びます。この作品は、シルクロードを旅した中国・唐の僧侶、玄奘三蔵をイメージしながら平和を祈って描かれた作品で、これ以降、仏教を題材にした幻想的な作風を確立しました。

その後、平山さんは、宗教や民族が異なるさまざまな人たちが行き交ったシルクロードへの興味を深めて中央アジアやアフガニスタン、それにトルコなどを訪れるようになり、その旅は生涯で100回以上に及んだといいます。

さらに、戦争で破壊されたり、盗掘や略奪で海外の古美術市場に流出したりしたシルクロードの文化遺産の行く末にも危機感を持ち、保護や修復に力を入れました。

そして、アフガニスタンのバーミヤンにあった2体の大仏が破壊された際には各国の美術館に呼びかけて抗議声明を発表するなど、世界に向けて国際交流と平和の大切さを訴えました。

こうした功績などから平成10年に文化勲章を受けた平山さんは、9年前の平成21年に79歳で亡くなりました。

情報源:日本画家 平山郁夫さんの未公開作品確認 若き日の11点 | NHKニュース


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