温暖化が一定以上進むと人間の手によって押しとどめることが不可能に、今後10年の動向が分岐点だと専門家 – GIGAZINE

へぇ・・・



by stokes rx

2018年の夏は全世界的に記録的な猛暑となっており、日本でも多くの人々が熱中症で搬送されているほか、北欧などでは猛暑の影響による山火事も多く報告されています。そんな中、研究者らは「今後10~20年間の人類の行動が、地球が不可逆的な温暖化に突き進むか、それとも瀬戸際で踏みとどまるかの分岐点になる」という論文を発表しました。

Trajectories of the Earth System in the Anthropocene | PNAS
http://www.pnas.org/content/early/2018/07/31/1810141115

Planet at Risk of Heading Towards Apocalyptic, Irreversible ‘Hothouse Earth’ State – Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/8xbdnk/planet-at-risk-of-heading-towards-hothouse-earth

研究者らが「ホットハウス・アース(温室化した地球)」という言葉で呼ぶ「温暖化が進んでしまった」状態の地球では、平均気温が従来の地球よりも4~5度ほど高くなり、特に北極圏では10度近くも上昇してしまうと考えられています。ホットハウス・アースでは地球上に存在する氷の多くが溶け出してしまい、海面が10~60mも上昇してしまうため、人類が生息可能な陸地はとても狭くなってしまうとのこと。

「産業革命前からの地球の温度上昇を2度までに抑える」ことを目標として合意したパリ協定では、多くの国々が炭素の排出量を削減することで合意しています。ところが、スウェーデンの環境学者であり、「ホットハウス・アース」の危険性を主張した論文の共同執筆者でもあるヨハン・ロックストローム氏は、「地球が『ホットハウス・アース』と化してしまう未来を避けることは、温度上昇を2度までに抑えても無理かもしれない」と述べています。

ロックストローム氏によれば、地球温暖化は人間が輩出する温室効果ガスによってのみ引き起こされる現象ではなく、森林や海洋といったさまざまな要因が重なり合って発生するものだとのこと。たとえ炭素の排出量を削減して温度上昇を2度までに抑えたとしても、地球の環境を作り出している自然要因の一つに大きな影響を与え、「さらなる温暖化に向かうフィードバックが誘発される可能性がある」とロックストローム氏は語りました。たとえば、近年世界各地で発生している熱波や森林火災は、地球の平均気温が1度上がったことによる気候変動と関連していると主張する研究者も存在します。これと同じような連鎖反応が、地球温暖化を悪化させる方向に進行してしまうかもしれないそうです。

by Guillaume David

論文中では、「永久凍土の融解は、地球温暖化を進めるフィードバックの一つだ」と述べられています。北半球の土地のおよそ4分の1を永久凍土が占めていますが、永久凍土の大部分が溶けてしまうことによって、空気中に大量の炭素やメタンガスが放出されてしまいます。これらの温室効果ガスが永久凍土の融解によって放出されると、さらに地球温暖化を進める要因となり得るとのこと。

温暖化を進行させる他のフィードバックとしてロックストローム氏が挙げたのは、「アマゾンの熱帯雨林や亜寒帯の森林が干ばつなどの影響で枯れてしまう」「北半球における積雪量が減少する」「南極や北極の氷が溶け出す」といった現象です。地球温暖化の結果としてこれらの現象が発生するだけでなく、これらの現象の結果としてさらなる地球温暖化が引き起こされてしまう危険性を、ロックストローム氏は指摘しています。

「これらの危機的要素はドミノ倒しのように作用します」とロックストローム氏は語り、ドミノの一方の端が押されて倒れるとその次のドミノも倒れ、さらに次のドミノも倒れ……という風に連鎖的に地球が温暖化へ突き進むとしています。そして、「ホットハウス・アースへのフィードバック」がスタートしてしまうと、人間の手によって押しとどめることは非常に困難だとのこと。ロックストローム氏は、今後10年間が地球をホットハウス・アースに変えてしまうか踏みとどまるかの分岐点だとしており、「これは世界最大のセキュリティ問題です」と述べました。

by OMassilia

科学者らはホットハウス・アースへのフィードバックを食い止めるために、3つの優先事項があるとしています。まず1つ目が「積極的に炭素の排出量を削減し、可能な限り迅速に炭素を排出しないエネルギーシステムに移行する」ことです。石油や石炭に替わる新たなエネルギー源に切り替えていく試みは、近年の風力や太陽エネルギーを利用した発電方法の低コスト化に伴い、着実に進んでいるとのこと。

2つ目が、「森林伐採と植物が残る地域を農業に利用してしまうことを停止する」です。森林などの植物は、人間が排出する二酸化炭素のうち25%を吸収しており、この数値を減らさずに増やしていく努力が温暖化対策には必要となります。

そして3つ目が「大気中から二酸化炭素を抽出し、数千年にもわたって固定する技術開発を継続する」こと。ビル・ゲイツ氏も注目する二酸化炭素固定化事業は、多くの国や企業が技術の開発を進めており、カナダでは実際に二酸化炭素を固定するためのプラントが建設されています。

by Alex Proimos

また、アリゾナ大学の地理学教授であるダイアナ・リバーマン氏は、「地球の持続可能性を高めるためには、全世界的な出生率の低下も役に立つでしょう」と述べています。人口を維持するためには多くのエネルギーが必要となるため、世界の人口は今よりも減ったほうが地球を安定した状態に保つことができるとのこと。

「近年では多くの人々が自主的に地球温暖化を防ごうと活動していますが、その活動が自己満足に終わってはいけません。温暖化を防ぐために必要な行動を取らなかったことで、地球に対して重大なトラブルを引き起こしかねないのです」とリバーマン氏は語りました。

情報源:温暖化が一定以上進むと人間の手によって押しとどめることが不可能に、今後10年の動向が分岐点だと専門家 – GIGAZINE


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