独自の道たどり、女流初タイトル 西山朋佳女王と渡部愛女流王位 将棋:朝日新聞デジタル

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将棋の女流棋戦で、異色の経歴を持つ新タイトル保持者が立て続けに誕生した。奨励会で女性初の「棋士」を目指す西山朋佳(ともか)女王(23)と、日本女子プロ将棋協会(LPSA)所属の渡部愛(わたなべまな)女流王位(25)だ。それぞれ日本将棋連盟の女流棋士制度とは異なる道を歩み、念願の初タイトルを獲得した。

西山朋佳女王
西山朋佳女王

■女性初の「棋士」へ、努力で前進 奨励会所属・西山朋佳女王

西山女王は5月末、第11期マイナビ女子オープン五番勝負で加藤桃子前女王(23)を3勝1敗で破った。加藤前女王に3連敗を喫した14年の女流王座戦以来2度目のタイトル挑戦だった。「肩書が大好きなので本当にうれしい。ちょっとだけ認めてもらえたという感じです」と話す。

「女流棋士」ではなく、男女の区別がない「棋士」を目指す奨励会で、プロ四段の一歩手前の三段リーグに在籍する。研修会で女流棋士資格が得られる成績を挙げていたが、2010年、14歳で迷わず奨励会6級に入会した。

順調に昇級する自信はあったが4級で1年停滞。立ち直るきっかけとなったのが、11年、女流三冠だった里見香奈女流四冠(26)が奨励会編入試験を受け、その試験対局の相手を務めたことだ。「負けるイメージはなかった」のに逆転負け。「そこで1回、へし折られた」。初めて出場した女流棋戦でも1回戦負けし、「全然自分はダメなんだなと再確認した」と言う。

そこから奨励会に入った里見四冠を追うように、18歳で初段、19歳で二段、20歳で三段に昇段。「自分は6級から上がってきたという、ちょっとした誇りがあったので、(プロ入りで)先を越されたくなかった」。

里見四冠が3月、年齢制限で退会したことで、三段の女性は西山一人になり、期待がかかる。「だんだん内容はよくなっている。あとは自分の努力次第。マイナスなことは考えず、一番一番悔いのない将棋を指していけたら結果はついてくると思う」と話している。

渡部愛女流王位
渡部愛女流王位

■別の育成制度から腕磨き、勢い LPSA所属・渡部愛女流王位

渡部女流王位は6月、里見・前女流王位を3勝1敗で破ってタイトルを奪取。当時五冠だった圧倒的王者との初対戦は「楽しみな気持ちと、ちゃんと戦えるかという不安な気持ちが両方。3連敗したらどうしようと思っていた」と振り返る。

第1局は負けの局面から相手のミスで逆転勝ち。第2局は敗れたものの、第3局、第4局とねじり合いを制した。「初戦で勝って4局まで指せると思えてうれしかった。力を出し切れたのが大きかった」と言う。

北海道帯広市出身。中井広恵女流六段(49)ら一部の女流棋士が将棋連盟から独立して発足した同協会に所属する。同じ北海道出身の中井女流六段に憧れ、中学生の時に協会の「中井塾」に入り、腕を磨いた。

高校卒業後に同協会が認定する「女流3級」になったが、別の育成制度を持つ将棋連盟に認められず、1年間は女流棋士として公式戦に出られない、不安定な時期を送った。13年に将棋連盟に特例で認められ、全公式戦に出られるように。「出られる喜びと驚きで複雑な気持ちでした。ただ3級は仮免許のようなもので、絶対に2級に上がりたかった」

その目標通り、同年に規定を満たして正式な女流棋士となる女流2級に昇級した。その後は新人王戦で男性棋士を破るなど活躍。そして女流二段の今年、女流王位戦の挑戦者決定リーグで中井女流六段らに5連勝し、挑戦者決定戦では清水市代女流六段(49)を破るなどトップレベルの戦いぶりを見せた。

同協会で育ったプロとして初タイトル。その人気から協会の顔として活躍が期待される。「将棋が強くなることを一番に考えて頑張りたい」と話している。(村上耕司)

【女流タイトル戦への主な出場条件】

女流名人戦、女流王位戦は女流棋士のみ出場可。倉敷藤花戦と女流王将戦は女性アマチュアも、女流王座戦とマイナビ女子オープンはアマチュアに加えて、女性奨励会員も出場できる。

情報源:独自の道たどり、女流初タイトル 西山朋佳女王と渡部愛女流王位 将棋:朝日新聞デジタル



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