Topics:第76期名人戦七番勝負を振り返る 佐藤、実力高め防衛 羽生竜王降して3連覇 – 毎日新聞

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感想戦で対局を振り返る佐藤天彦名人(左)と羽生善治竜王=山形県天童市の天童ホテルで2018年6月20日午後9時49分、梅村直承撮影
感想戦で対局を振り返る佐藤天彦名人(左)と羽生善治竜王=山形県天童市の天童ホテルで2018年6月20日午後9時49分、梅村直承撮影

佐藤天彦名人VS羽生善治竜王

佐藤天彦(あまひこ)名人(30)に羽生善治竜王(47)が挑戦した第76期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛)は4月に開幕し、19、20日に山形県天童市で行われた第6局を佐藤が制して4勝2敗とし、3連覇を飾った。今期の七番勝負を振り返る。【山村英樹】

羽生通算10期狙い

11人によるリーグ戦となったA級順位戦は史上初めて6人が6勝4敗で並ぶ6者プレーオフとなり、順位下位から勝ち上がっていくパラマス方式のトーナメントが行われた。下位の豊島将之八段(28)が3連勝して上位に進んだが、順位2位で待ち受けた羽生が、豊島と前期挑戦者で順位1位の稲葉陽八段(29)を連破し、2期ぶりに七番勝負登場を決めた。十九世名人の資格を持つ羽生の名人位獲得は通算9期で、大山康晴十五世名人の18期、中原誠十六世名人の15期に次ぐ単独歴代3位の長さを誇る。

羽生は昨年12月に竜王位を奪取して永世竜王の資格を獲得し、史上初の永世7冠となった。これを受けて今年2月、将棋界初となる国民栄誉賞を受賞。勢いに乗っての挑戦となった。しかも、通算タイトル獲得数が歴代最多の99期で、名人獲得となれば通算10期で100タイトルの大台に乗る劇的な展開だった。ただ、名人挑戦者になることは当人もほとんど考えていなかった事態で、七番勝負に向けての調整は十分にできなかった側面はある。

試行錯誤した佐藤

一方の佐藤。一昨年、羽生を4勝1敗で破って16年ぶりに20代の名人誕生となり、将棋界に新しい歴史を築いた。昨年は稲葉との20代対決を4勝2敗で制して初防衛。今期は3連覇を目指した。長い歴史を持つ名人戦だが、3期以上保持した棋士は少ない。木村義雄十四世名人、大山、中原、谷川浩司九段(十七世名人資格保持者)、森内俊之九段(十八世名人資格者)、羽生と、永世名人がいるだけだ。

昨年4月から今年3月の佐藤の成績は、16勝19敗の負け越し。他棋戦での活躍も少なく、名人戦に向けて調子が不安視された。しかし、最近将棋ソフトの進化もあって新しい考え方が盤上にも表れてきている。その変化を受け止めて自分の将棋に生かそうというのが、この1年の佐藤の試行錯誤だった。目先の結果を追わずに実力を高めることは容易ではないが、佐藤はあえてこの道を進んだ。

相手が羽生に決まり、「相手とともに後世に評価される作品を作りたい」と望む佐藤にとって今期の七番勝負は最高の対戦になった。

第5局、後手番勝利

東京都文京区で行われた第1局。後手番の佐藤が一昨年の名人奪取の原動力となった横歩取りを選択すれば、羽生も最強の対応を繰り出して名人戦史上もっとも激しいとも言える1日目の展開になった。

だが、短手数で終局を迎える可能性もあった対局は両者の粘り強い指し回しもあって延々と形勢不明のまま続いた。結果は羽生が制した。佐藤は「敗れはしたが、満足な内容で、七番勝負に自信がついた」と言う。

名人戦の経験が豊富な谷川は「すごくいい将棋でした。現代調の展開でしたが、局面のバランスがずっと取れていたのが驚きでした」とたたえた。

第2局、第3局はともに先手番が勝利。迎えた第4局は、第6局終局後の記者会見で佐藤がポイントとして挙げた対局になった。「黒星が先行する展開で、2勝差がつくと厳しくなるという気持ちで出身地の福岡の対局に臨んだ」という佐藤が、会心の勝利を挙げた。第5局も今期初の後手番の勝利で飾り、第6局を迎える。

力比べの第6局

この第6局も、第1局とは別の意味で歴史に残る内容になった。2手目6二銀から羽生が前例の少ない将棋に誘導し、力比べを挑む。この場合の力とはパワーというより、バランスを取りながら構想を描く力で、羽生にとっては長年培ってきた分野だ。土壇場になって「奥の手」を繰り出した。

対する佐藤も力比べで引けを取らなかった。両者が死力を振り絞った将棋は、2日目の午後2時59分にやっと駒がぶつかり、115手目が指されてやっと歩以外の駒が駒台に乗った。すでに両者ともに秒読みだった。

後半調子上げ連勝

谷川は今期の七番勝負を見て、「挑戦者が名人戦の中盤から調子を落とした気がします。10代のころは一晩眠ると疲れが取れたものですが、羽生さんくらいの年齢になると疲労がたまります。今までは不調になっても短期間で調子を戻してきた方ですが、今回はそうなりませんでした。また、第4局で直前に指した将棋を(そう研究を深めていないうちに)採用したのはらしくなかった」と、長年戦ってきた相手を思いやった。

佐藤については「七番勝負に照準を合わせてきました。名人を獲得したころは受けに回る棋風でしたが、変わってきた感じもあります」と語った。

ここ3期の佐藤から見た勝敗は、第74期=●○○○○▽第75期=●○●○○○▽第76期=●○●○○○。いずれも後半に調子を上げてきた。一昨年、名人を奪取した相手と立場を変えて再戦し、同じ対局場で勝ち取った3連覇だった。

情報源:Topics:第76期名人戦七番勝負を振り返る 佐藤、実力高め防衛 羽生竜王降して3連覇 – 毎日新聞


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