藤井七段、八段へは高い壁 「純粋な探究心忘れず精進」:朝日新聞デジタル

年内に可能性があるのは、竜王獲得、タイトル二期獲得だな。


「昇級・昇段を祝う会」を前に、師匠の杉本昌隆七段(右)と笑顔で握手する藤井聡太七段=2018年6月10日午後3時23分、名古屋市中区、上田潤撮影
「昇級・昇段を祝う会」を前に、師匠の杉本昌隆七段(右)と笑顔で握手する藤井聡太七段=2018年6月10日午後3時23分、名古屋市中区、上田潤撮影

将棋の最年少棋士、藤井聡太七段(15)の昇級・昇段を祝う会が10日、名古屋市中区のホテルで開かれ、関係者ら約500人が集まった。主催者が4月に案内状を送ったときには、まだ「藤井六段」。昇段のスピードが速すぎて、急きょ、七段昇段も一緒に祝う会になった。

プロ棋士164人の段位の内訳
プロ棋士164人の段位の内訳

藤井七段は中学生だった今年2月1日、名人戦につながる順位戦C級1組への昇級を決め、五段に昇段。半月後の2月17日に第11回朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞社主催)で優勝し、六段に。さらに5月18日には「六段昇段後、竜王ランキング戦で連続昇級」の規定を満たし、61年ぶりに七段昇段の最年少記録を塗り替えた。

「昇級・昇段を祝う会」で花束を受け取る藤井聡太七段(右)=2018年6月10日午後6時12分、名古屋市中区、上田潤撮影
「昇級・昇段を祝う会」で花束を受け取る藤井聡太七段(右)=2018年6月10日午後6時12分、名古屋市中区、上田潤撮影
「昇級・昇段を祝う会」であいさつする藤井聡太七段(中央)=2018年6月10日午後6時14分、名古屋市中区、上田潤撮影
「昇級・昇段を祝う会」であいさつする藤井聡太七段(中央)=2018年6月10日午後6時14分、名古屋市中区、上田潤撮影
「昇級・昇段を祝う会」で乾杯をする藤井聡太七段(奥)=2018年6月10日午後6時19分、名古屋市中区、上田潤撮影
「昇級・昇段を祝う会」で乾杯をする藤井聡太七段(奥)=2018年6月10日午後6時19分、名古屋市中区、上田潤撮影

祝う会に先立って記者会見した藤井七段は、プロ入り後を振り返り、「形勢判断の精度が上がった。トップ棋士と対戦して実力差も痛感したが、自分に足りないものがはっきりした。距離を縮められた部分もあり、タイトルをめざす強い気持ちは常にある」。今後の目標を問われると、「タイトルとともに、将棋に対する純粋な探究心も忘れずに精進したい」と語った。

記者会見に同席した師匠の杉本昌隆七段(49)は「処理速度が速くなっている。寝て起きると強くなっている印象。いままで通り将棋好きの少年のまま、上をめざしてやってほしい」と話した。

祝う会には日本将棋連盟の佐藤康光会長(48)らが出席し、藤井七段が自ら昇級や昇段を決めた対局を解説した。スーツ姿の藤井七段は「期待していただいていることを改めて強く感じる。期待を上回る活躍ができればと思います」とあいさつし、大きな拍手がわいた。

八段昇格はいつ?

将棋の最年少棋士、藤井聡太七段(15)は、わずか4カ月足らずで一気に四段から七段へ駆け上がった。前例のない規格外のスピード昇段を重ねてきたが、その藤井七段といえども、今年度中の八段昇段は容易ではなさそうだ。

段位は棋士の等級を表しており、プロ棋士は全員四段から始まる。それぞれの段位で規定の勝利数やタイトル獲得など、日本将棋連盟の規定を満たすと昇段していく仕組み。一度昇段すると下がることはなく、最高位は九段だ。

連盟によると、現役のプロ棋士は164人(6月6日時点)いる。内訳は、四段15人、五段23人、六段31人、七段41人、八段26人、九段28人。棋士の4人に1人が七段だ。

「七段から八段が、すごく難しい。八段に届かずに引退する棋士も多い。次が本当の関門でしょう」。藤井七段の師匠、杉本昌隆七段(49)は言う。

八段昇段の条件は四つ。「順位戦A級昇級」「七段昇段後、公式戦190勝」の二つは、順調でも数年はかかる。藤井七段は現在、今年度中に竜王、棋王、王座のタイトルを獲得する可能性を残しており、「竜王位1期獲得」か「タイトル2期獲得」のどちらかで八段になる。だが、どちらも至難だ。

杉本七段は「段位は肩書みたいなもので、いずれ上がっていく。藤井七段のような若手棋士は、あまりこだわりがないと思う。タイトル獲得や棋戦優勝の方がうれしいはずだ」と話す。自らも、八段昇段の規定勝利数まで残り13と迫り、今年度中の昇段も視野に入れる。「さすがに八段昇段は(自分の方が早いのでは)」と笑った。(滝沢隆史)

プロ棋士の主な昇段規定

●九段

八段昇段後に公式戦250勝、名人位1期獲得、竜王位2期獲得、タイトル3期獲得

●八段

七段昇段後に公式戦190勝、順位戦A級昇級、竜王位1期獲得、タイトル2期獲得

●七段

六段昇段後に公式戦150勝、順位戦B級1組昇級、竜王挑戦、タイトル1期獲得

●六段

五段昇段後に公式戦120勝、順位戦B級2組昇級、五段昇段後に全棋士参加棋戦優勝

●五段

公式戦100勝、順位戦C級1組昇級、タイトル挑戦

情報源:藤井七段、八段へは高い壁 「純粋な探究心忘れず精進」:朝日新聞デジタル


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七段昇段後公式戦で190勝は時間を掛ければ可能、順位戦A級昇級もこのままなら行けるだろうけど・・・