日本刀作り見るなら岐阜・関市 鍛錬施設公開で魅力発信:朝日新聞デジタル

居合や抜刀術を、高校の義務教育に盛り込んでほしいな。


先手2人の大鎚(おおづち)と横座に座る刀匠の小鎚(こづち)による打ち回しをガラス越しに眺める外国人ら。見学は有料で予約が必要=関市小瀬の「刃物屋 三秀」
先手2人の大鎚(おおづち)と横座に座る刀匠の小鎚(こづち)による打ち回しをガラス越しに眺める外国人ら。見学は有料で予約が必要=関市小瀬の「刃物屋 三秀」

刀鍛冶(かじ)の伝統が息づく岐阜県関市に今年、日本刀の鍛錬の様子が見られる施設がオープンした。国内外からの観光客に日本刀の存在を伝える場になっている。刀匠の担い手が減る中、関市では新たな取り組みで刀の魅力発信に努める刀匠たちがいる。(吉住琢二)

外国人客、「刀剣女子」も見学急増

刀匠の弟子が持つ焼けた玉鋼を眺める外国人ら
刀匠の弟子が持つ焼けた玉鋼を眺める外国人ら

白装束の先手(さきて)が、真っ赤に焼けた玉鋼(たまはがね)めがけて大鎚(おおづち)を打ちおろす。そのたびに、オレンジ色の火花が飛び散る。迫力満点のシーンを録画しようと、外国人らが一斉にスマートフォンやカメラを向ける。

ここは、関市小瀬の日本刀古式鍛錬場。創業80年の刃物販売店「刃物屋 三秀(さんしゅう)」に今年完成した。テーマパークなどを除けば民間では国内唯一の公開施設という。刀を打つのは25代藤原兼房刀匠(61)=本名・加藤賀津雄(かつお)さん=、26代(39)=本名・加藤正文実(まさふみ)さん=の親子と弟子たちだ。

今月上旬、中国やベトナム、カナダなど6カ国の7人が鍛錬場を訪れた。日本政府観光局がネット上で影響力のある海外の有名ブロガーらを招き、日本の地方の新たな魅力発信を目指すツアーだ。

参加者は大鎚を手に鍛錬を体験。日本刀や包丁が並ぶ展示室で、刀鍛冶(かじ)から現在の刃物産業に続く歴史に耳を傾けた。SNSのフォロワー数が24万人というマレーシア人のチージーさんは「職人技がすごくて尊敬する。知らない日本を体験できて感動した」。

広告会社員を経て2000年に店を継いだ吉田和弘社長(46)は、中部空港の開港などを機に観光の形が変わると考えた。国内外の旅行社に飛び込み営業をし、関の刀匠や刃物製品の魅力を売り込んだ。刀を深く知ろうと居合を習い、店で実演も始めた。

そして「脈々と続く刀鍛冶は関だけの文化。炭のにおいや熱などリアルな体験をしてほしい」との思いで鍛錬場を造った。市の「関鍛冶伝承館」でも公開鍛錬があるが、月1度で物足りなかった。

店での鍛錬を快諾した25代藤原刀匠は、伝統技法を守りつつ、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」と組み合わせた展覧会で刀を作るなど新たな試みに挑む。最近は名刀を擬人化したゲームからファンになった「刀剣女子」の姿も目立つが、藤原刀匠は「多くの人にとって日本刀はまだなじみが薄い。まずは存在を知ってもらうこと」と話す。

10年ほど前は年に数十人だった店を訪れる外国人客はいま1万人を超えるという。吉田社長は「目標は地域全体に経済効果を波及させること」と意気込む。

伝統の技 担い手不足

日本刀鍛錬を体験する外国人の女性
日本刀鍛錬を体験する外国人の女性

刀匠資格を得るには、5年以上修業し、国の実地研修にパスしなければならない。新刀の価格は百数十万円から数百万円と様々だが、材料や装飾の費用を引くと利幅は大きくない。買い手は刀匠と個人的なつてがある愛好家らが多く、安定した販売先が少ないのが現状だ。

関伝日本刀鍛錬技術保存会刀匠会長の尾川兼国刀匠(65)=本名・尾川光敏さん=は「資格を得ても食べていけるまでには何年もかかる。経済的に不安定なので弟子を取らない刀匠も多い」と語る。

昭和40年代に約20人いた関の刀匠は現在は10人余。弟子は2人しかいない。技の継承が危ぶまれる中、伝統の道を歩き始めた若い刀匠もいる。

26代藤原兼房刀匠から日本刀の歴史や製法についての説明を聞く外国人ら
26代藤原兼房刀匠から日本刀の歴史や製法についての説明を聞く外国人ら

福岡市出身の福留裕晃さん(33)は高校卒業後に25代藤原刀匠に弟子入りし、10年に刀匠資格を取得。間借りの鍛錬場を使っていたが、関市内の中古住宅を買って昨年から自分の鍛錬場を造り始めた。新人刀匠が関に鍛錬場を開くのは、十数年ぶりのことだ。

福留さんは3年前から、熊本県阿蘇市の阿蘇神社に伝わる宝刀「蛍丸」の復元に弟弟子と一緒に取り組んだ。費用捻出のためクラウドファンディングで出資を募ると、目標をはるかに上回る4500万円が集まった。出資者には若い女性も目立った。「夢だった大太刀作りに打ち込めて幸せだったが、3千人もの人が出資を通じて刀作りに参加してくれたことがうれしかった」と話す。

資金が少ないため、鍛錬場造りは手作業だ。「福岡市博物館の国宝『圧切長谷部(へしきりはせべ)』。死ぬまでにあんな刀を作ってみたい」。夢は続く。

岐阜県関市中心部の地図
岐阜県関市中心部の地図

〈日本刀作りと関鍛冶(かじ)〉 日本刀は鋼の鍛錬を繰り返し、硬さの違う材を組み込む「造り込み」や、急冷して刃文や反りを出す「焼き入れ」など複雑な工程を経る。関鍛冶の始まりは鎌倉時代末~南北朝期。最盛期に300人の刀匠がいたとされ、孫六兼元ら名工も輩出。明治の廃刀令で需要が減ると、一部の刀鍛冶は町鍛冶となり刃物産業の礎となった。

情報源:日本刀作り見るなら岐阜・関市 鍛錬施設公開で魅力発信 (朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース

情報源:日本刀作り見るなら岐阜・関市 鍛錬施設公開で魅力発信:朝日新聞デジタル


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