【高論卓説】「名ばかり春闘」脱却で崩れる共闘 企業は「自社型賃金」工夫の段階へ (1/2ページ) – SankeiBiz(サンケイビズ)

ふむ・・・


※画像はイメージです(Getty Images)
※画像はイメージです(Getty Images)

今年のいわゆる春闘は先週、主要企業の交渉が決着してヤマ場を越した。少し早いが、今年の特徴をまとめてみると、名ばかり春闘の流れ解散がいよいよ始まったといえるだろう。

象徴的な動きは、トヨタ自動車労使が妥結金額を非開示にしたことである。賃上げは個別企業の問題で、外に言う必要はないとの姿勢を明確にした。高度成長期は新日本製鉄(現新日鉄住金)が賃上げ相場形成のリーダー役を担っていた。「鉄は国家なり」の時代である。その後、曲折を経て、最近はトヨタの回答動向が全体の相場形成に大きな影響を与えてきたことは否めない。

ところが今年、集中回答のあった14日朝、主要労組が集まる金属労協(JCM)のホワイトボードに、トヨタの数字は書き込まれなかった。

労組が結集して横並びで社会的な賃上げ相場をつくる「共闘」の観点からは、困った動きのはずである。だが高倉明金属労協議長(自動車総連会長)や神津里季生連合会長は記者会見で質問されても批判しない。黙認ないし容認である。

これをきっかけに、要の外れた扇がばらばらになるように、春闘は形の上でも徐々に崩れていくだろう。

実は「春闘」はとっくの昔に形骸化している。今は名前と実態は大きく異なる。

例えば今年、労組の全国組織である連合は、定昇を含めて4%程度の賃上げを要求基準として掲げた。

安倍晋三首相が経済界に「3%賃上げ」を求め、これに神津連合会長は反発して「われわれは4%の引き上げを要求している」と言っていた。当然、傘下の労組、ことに主要労組は足並みをそろえると思ったが、実際には違った。

例えば日産自動車は満額回答だったが、賃上げ率は3%に満たない。金属労協の主要組合の要求は、もともと連合の基準である4%アップを下回る。

連合が16日に発表した妥結結果の第1回集計によると、定昇込みで賃上げ率は平均2.16%にとどまる。昨年を上回ったもののわずか0.1ポイントである。金額の上げ幅は245円だ。

神津会長は「今後につなぐ価値のある回答を各共闘会議が引き出してくれた」と評価。賃上げ率2.16%を水準としてどう見るのかという問には「数字の評価はもう少し後にしたい」と明言を避けた。

「価値ある回答」の意味を尋ねると「中小の組合が自律的に(率で)大手の水準を上回る回答を引き出している点だ」と言う。これには人手不足がかなり影響しているのではないか。

春闘方式は、高度成長期にはインフレ経済を背景に、日本の賃金を決める社会的な機能を果たしてきた。しかしバブル崩壊後、デフレによりブレーキがかかり、1990年代末から完全に機能不全に陥った。

その結果、米欧と比べてわが国の名目賃金は独り下降傾向をたどり、いまだに低迷し続けるという異常事態にある。

実際に賃上げ交渉をする個々の企業の労使は、今が好業績でも先行きが不透明だと、慎重にならざるを得ない。連合も一時期、賃上げ要求を控えていた。賃上げを我慢して、雇用を守ったともいえる。

しかし辛抱だけでは、マクロ経済も個別企業も立ち行かない。そろそろ限界に来たのではないか。

名ばかり春闘が流れ解散に向かえば、企業はそれぞれ惰性から脱して、自社型の賃金を真剣に工夫する必要がある。

【プロフィル】森一夫

もり・かずお ジャーナリスト。早大卒。1972年日本経済新聞社入社。産業部編集委員、論説副主幹、特別編集委員などを経て2013年退職。著書は『日本の経営』(日本経済新聞社)、『中村邦夫「幸之助神話」を壊した男』(同)など。68歳。

情報源:「名ばかり春闘」脱却で崩れる共闘 企業は「自社型賃金」工夫の段階へ (SankeiBiz) – Yahoo!ニュース

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