ピラミッドや原子炉、火山も“透視” 素粒子観測の意外な使い道(産経新聞) – Yahoo!ニュース

へぇ・・・


ピラミッドの未知の空間
ピラミッドの未知の空間

名古屋大などの国際研究チームが今月初旬、エジプトの首都カイロ近郊のギザにあるクフ王のピラミッド内部に未知の巨大空間を見つけたと発表した。世界的な大発見をもたらしたのは、上空から降り注ぐ素粒子の「ミュー粒子」だ。火山監視や原子炉の調査などにも役立っており、素粒子の観測という基礎科学の成果が思わぬ形で社会に貢献している。(小野晋史)

ミュー粒子は、宇宙空間を高速で飛び交う陽子などの宇宙線が地球に到達し、大気と反応することで生まれる。さまざまな方向から1平方センチメートル当たり毎分1個のペースで降り注ぎ、私たちの体も通り抜けている。

特徴は透過性の高さで、レントゲン撮影に使うエックス線をはるかに上回り、厚さ1キロの岩盤でも通り抜けることができる。ただ、すべてのミュー粒子が通過できるわけではない。一部のミュー粒子は途中で遮られ、その割合は通り抜けようとする物質の厚さや密度などに左右される。

これを言い換えると、岩盤などを通り抜けてきたミュー粒子の数と飛んできた方向が分かれば、内部の物質や空洞の有無を推測できるということだ。

名古屋大の森島邦博特任助教らの研究チームは、エジプトやフランスの研究者らと共同で2015年に始まった調査計画「スキャンピラミッド」に参加。この計画はクフ王のほか、隣接するカフラー王のピラミッドや少し離れたダハシュール地区にある屈折ピラミッド、赤のピラミッドの計4つを対象とし、貴重な古代の遺産であるピラミッドを傷つけずに調べることを目的としている。

ミュー粒子を使った観測は内部の“非破壊検査”が可能で、まさにうってつけだ。森島さんらはミュー粒子をとらえることができる「原子核乾板」をクフ王のピラミッド中心部にある「女王の間」に設置し、約1100万個ものミュー粒子を分析した。

その結果、女王の間の上にある大回廊よりもさらに上に、長さが30メートル以上で飛行機サイズの巨大空間を発見。巨大空間ではなく複数の部屋が並んでいる可能性もあるが、いずれにしろ大発見だ。

クフ王のピラミッドは、王のミイラが見つかっていないなど謎が多い。巨大空間に遺物があるかもしれず、今後はより近い場所に原子核乾板を設置して詳細な構造などを調べるという。

観測に使った原子核乾板は厚さ約0・3ミリと非常に薄いシート状で、軽量な上に電源も不要なため、さまざまな場所に設置できる。さらに名古屋大は、原子核乾板に刻まれたミュー粒子の痕跡を高速で読み取る機械も開発。痕跡を人間が一つずつ数える手間が省け、研究活動が大きく前進した。

既に森島さんらは、ピラミッドのほかにも東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所(福島県)2号機の原子炉内部も観測。高い放射線量で近づけない作業員に代わり、炉心溶融が発生していたことを確認した。

火山の“透視”でも応用が進んでいる。東大地震研究所の田中宏幸教授らの取り組みが有名で、06年には浅間山(長野・群馬県)内部の観測に成功し、ミュー粒子で火山の内部を世界で初めて画像化。このほか昭和新山(北海道)のマグマが通った「火道(かどう)」の直径も確認した。

その後、機器の改良を加え、13年には薩摩硫黄島の硫黄岳(鹿児島県)を数日単位でコマ撮りしてマグマが上下に動く様子もとらえた。火山をリアルタイムで観測できれば噴火の予測に役立つとみられ、さらに研究が進められている。

宇宙や物質を構成する微細な素粒子の観測といえば、基礎科学のイメージが強かった。それが思いもよらぬ形で私たちの生活に役立つことが分かってきた。このことは、すぐに研究の成果を求めたがる昨今の風潮に一石を投じてもいる。

情報源:ピラミッドや原子炉、火山も“透視” 素粒子観測の意外な使い道(産経新聞) – Yahoo!ニュース


ほぉ・・・