企業に「ため過ぎ」批判 内部留保課税は有効か 論説委員・井伊重之(産経新聞) – Yahoo!ニュース

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日本企業のバランスシート
日本企業のバランスシート

衆院選で希望の党が「内部留保課税」を掲げたのを契機として、企業が抱える内部留保に対する注目が高まっている。日本企業の「ため込み過ぎ」への不満は根強く、自民党内にも以前から課税論がくすぶっている。

日本企業の昨年度の内部留保は、406兆円と過去最高を記録した。アベノミクスが始まってから4年間で100兆円近くも増えた。一方で企業は、賃上げや設備投資などに稼いだ利益を十分に振り向けてはいない。そんないらだちが課税論の背景にある。

法人税を支払った後の利益に課税する内部留保課税は典型的な二重課税にあたる。会計上の誤解もあり、制度として問題は多い。それでも課税論が噴き出すのは、無理にでも課税すれば税収増につながったり、あるいは課税を嫌った企業が利益を賃上げなどに回したりするのでは、との期待があるからだ。

投資ファンド関係者はここ数年、自民党幹部らに対して内部留保課税の導入を積極的に働きかけてきた。日本企業が蓄積した多額の内部留保をめぐり、もっと株式配当などに配分してもらうことを狙っているからだ。

希望の党は選挙公約で消費税増税を凍結し、その代替財源として内部留保課税を打ち出した。増税の実施を掲げた自公両党に対抗するためとはいえ、「(大企業が抱える300兆円の内部留保に)2%の税金をかければ、増税凍結分は浮く」という課税案は経済界を驚かせた。この案を主導したのも、希望の党を率いた小池百合子東京都知事のブレーンを務める投資ファンド経営者のようだ。

しかし、小池氏は東京をアジアにおける国際金融都市とするため、政府に法人税減税を求めている。法人税を下げる一方で、内部留保に課税するのではアクセルとブレーキを同時に踏むようなものだ。ただ、希望の党は選挙途中で失速して思ったように議席が獲得できず、課税案をめぐる議論も雲散霧消した。

内部留保といっても、企業が金庫に札束をため込んでいるわけではない。会計上の内部留保とは、企業が稼いだ利益から税金を納めて株主への配当を支払い、そこから残ったお金を長年蓄えた利益剰余金のことだ。既に内部留保の一部は工場設備などに姿を変えており、内部留保そのものに課税はできない。

しかし、最近ではアベノミクスによる円安効果もあり、上場企業の現預金だけで100兆円を超えた。一方で設備投資の水準は10年前と比べて大きな変化はない。賃上げも4年連続でベースアップ(ベア)は実施されたものの、実質賃金は横ばいで力不足は否めない。企業が手元に残した資金を有効に使っているとはいえない状況だ。

それだけに内部留保課税が注目されるわけだが、財閥グループに対する儲け過ぎ批判から内部留保課税を導入した韓国の例を紹介する。韓国では2015年から3年間の時限措置として、一定規模以上の大手企業に「企業所得環流税制」を導入した。

これは設備投資と賃金増加額、株式配当の合計額が税引き利益の8割に達しない部分については、10%を追加課税する内容だ。約1000社に課税されたが、投資や賃金は増えず、配当だけが増加したという。この時限課税については延長論が出ているものの、韓国経済の活性化にはつながっていない。

日本経済にとっても企業が持つ莫大(ばくだい)な利益剰余金をどのように配分してもらうかは大きな課題だ。賃金や雇用、設備投資を増やした企業に対する減税の拡充などが不可欠だが、特に賃上げに対しては産業界を挙げてもっと取り組むべきだ。

企業が稼いだ利益を従業員に還元していない構図は鮮明だ。利益の中から労働者に配分する割合を示す「労働分配率」の低下が止まらないからだ。資本金10億円以上の大手企業の労働分配率をみると、今年4~6月期は43・5%と46年ぶりの低水準である。これでは「日本企業はため込み過ぎだ」と批判されても仕方ないだろう。

企業は将来の先行きが見通せなければ、なかなか賃上げには踏み切れない。ボーナスや配当は業績に応じて増減できるが、毎月払う給料は景気が悪化しても簡単には減らせないとの理由からだ。

そうした中で安倍晋三首相は経済界に対し、来年の春闘で「3%の賃上げ」に期待を表明した。首相が具体的な賃上げ水準に言及するのは異例だ。企業は稼いだ利益を上手に活用する知恵が問われている。それだけに内部留保をめぐる議論は今後も熱を帯びそうだ。

情報源: 企業に「ため過ぎ」批判 内部留保課税は有効か 論説委員・井伊重之(産経新聞) – Yahoo!ニュース


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