将棋の藤井聡太四段という天才を育んだ秘密は幼少期のこの玩具にあり?:イザ!

ふむ・・・


【トレンド日本】

公式戦連勝歴代最多タイ記録となる28連勝を果たした史上最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が子供の頃に遊んだ玩具が今、飛ぶように売れている。もちろん、「藤井さんのような思考力や集中力を」と子供をもつ親たち、あるいは祖父母らが、こぞって買い求めているからだが、数万円もする木製ブロックのパズルが入荷半年待ちになるほどの人気ぶり。気になる天才を育んだ玩具とは-。

■3万円の玩具に予約殺到

キュボロスタンダード(アトリエ ニキティキ提供)
キュボロスタンダード(アトリエ ニキティキ提供)

「こんなに売れるのは、取り扱いを始めて以来、初めてです」

そう話すのは、藤井四段が3歳のときから遊んでいたと、テレビでも紹介された木の玩具「キュボロ」の正規輸入代理店、アトリエニキティキ(東京都武蔵野市)の広報担当、喜多崎香子さんだ。2004年からキュボロの取り扱いを始めた。

キュボロはスイスのキュボロ社の玩具。溝や穴のついた5センチ角の木のブロックを組み合わせ、上から落とした玉が下まで転がり出られる通路を作りあげるのが基本の遊び方。

開発者のマティアス・エッターさんが、ソーシャルワーカーとして心身に障害のある子供と関わるなかで、子供たちの能力に合わせたおもちゃを作ろうと生まれた商品が原型だ。

日本では05年の愛・地球博(愛知万博)の際に、スイス館にキュボロで作った巨大なお城が展示され、知られるようになったという。

ブロックの数が増えるにつれ、想像力を駆使して外から見えない内側の通路を作ることになるので、三次元の構成力や集中力が自然と養われる、とされている。対象年齢は5歳以上からだが、「ブロックの数が少なければ、もっと小さなお子さんでも十分に遊べます」と喜多崎さん。

藤井四段が遊んだ、とされているのが、キュボロの基本セットである「キュボロスタンダード」(3万2000円+税)だ。土台となるブロックと、13種類のブロックの計54個のセット。

今年1月、テレビ番組で取り上げられたのを機に問い合わせが増え始め、5月になり、藤井四段の連勝記録が注目されるようになると注文は殺到。「今年の1~5月分で、すでに1年分の生産量を超えたようです」と喜多崎さん。そのため、今から注文しても、年内に手に入らない状況だという。

入手が難しい理由は、キュボロの生産体制にある。

「スイスのブナの木を使用しています。木の乾燥に少なくとも1年半かかるため大量生産は難しく、生産に限界があるのです。早くお届けしたいのですが…」

■玉が通ったときの達成感

キュボロスタンダード(アトリエ ニキティキ提供)
キュボロスタンダード(アトリエ ニキティキ提供)

実際に、キュボロに挑戦させてもらった。付属の解説書には作り方の例が載っている。その中から、4種類12個のブロックを使った塔を作ることにした。

ブロックを選ぶのにも、頭を使う。穴の位置が真ん中から下側に抜けるもの、側面に溝があって穴が通っているもの-とブロックを縦横に動かしながら考える。

組み立てるときにも、これは穴がどちら側を向くんだっけ? と解説書とにらめっこ。木ならではの優しい手触りが心地良い。解説書を見ながらなので、5分ほどで組み上げることができた。そして、上の穴からから玉を転がす。見事に穴の通り道を抜けて落ちてくると、達成感で心が満たされた。ついつい、何回も玉を転がして遊んでしまう。

調子に乗って、同じブロックを組み替えて別の通り道を作ってみると、解説書通りなのに、今度はなぜか玉が途中でつかえてしまう。「きれいにそろえて積み上げないと、玉が通らなくなるんですよ」という喜多崎さんのアドバイスをもとに積み上げ直すと、無事に玉が通った。

補充ブロックのセットも販売されており、通り道は無限に広がっていく。組み合わせによって、機能的なシステムが出来上がることを、手と頭で経験できるのがキュボロの醍醐(だいご)味だといわれている。

喜多崎さんは「知育玩具として売っているわけではないのですが、どんな通路ができるかを考えるには、先を読む力が必要なので、楽しく遊ぶうちに、自然とそんな力が育まれるのかもしれませんね」と話す。

本場スイスでは大人の愛好者も多く、玉の走行時間を競うコンテストもあるほどだという。

■「藤井四段と同じおもちゃが欲しい」

「藤井聡太四段も使っていた!」というポップが店頭で目をひく、くもん出版の「NEW スタディ将棋」=東京都豊島区の西武池袋本店(油原聡子撮影)
「藤井聡太四段も使っていた!」というポップが店頭で目をひく、くもん出版の「NEW スタディ将棋」=東京都豊島区の西武池袋本店(油原聡子撮影)

もう1つは、くもん出版(東京都港区)の「NEW スタディ将棋」だ。

将棋初心者向けのおもちゃで、将棋の盤と駒40枚、駒台、解説書がセット。駒の表面には、その駒の動かし方が書かれているので、初心者でも遊びやすい。将棋をしながら楽しく思考力と集中力を養えるとうたっている。

日本将棋連盟が監修し、店頭に置かれているポップには、藤井四段の顔写真とコメントも掲載されている。「5歳のときに祖母がスタディ将棋で将棋を教えてくれたのが始まりです」。3200円に消費税という手頃な値段もあいまって、人気が急騰しているようだ。

くもん出版の東直美さんは「1999年に発売されたロングセラーの商品でしたが、将棋ブームに加えて藤井さんの人気もあって、年明けから品薄状態が続いています」と話す。

百貨店の西武池袋本店(東京都豊島区)では、ゴールデンウイーク明けから急に問い合わせが増えたという。それまでは週に1点売れる程度だったが、1週間ほどで10点売れたことも。6月に知育玩具を集めた特設売り場を作り、通常の将棋盤も販売したが、NEWスタディ将棋以外の売れゆきには変化がないという。

おもちゃ売り場担当の山口和弘さんは、「『藤井さんと同じものが欲しい』という問い合わせが多く、入荷分を店頭に置いても、すぐに売り切れてしまう」と説明する。購入層は、祖父母世代や40~50代が中心だという。

キュボロもNEWスタディ将棋も、大人が一緒に楽しめるおもちゃ。天才少年にあやかるだけでなく、家族のコミュニケーションにもお薦めといえそうだ。(文化部 油原聡子)

●藤井聡太(ふじい・そうた) 2002年7月19日生まれ。愛知県瀬戸市出身。名古屋大教育学部付属中3年。5歳で将棋を始め、小学4年のときにプロ棋士養成機関「奨励会」に入会。16年10月、最年少の14歳2カ月でプロ入り。これは、6月20日に引退した加藤一二三(ひふみ)九段(77)がもっていた14歳7カ月の最年少記録の62年ぶりの更新だった。

●キュボロ 正規輸入代理店、アトリエニキティキによると、スイス・キュボロ社の木製玩具「キュボロ」は、スイスの個人企業の木工所で生産されている。1985年に世に出て、ニキティは2004年に日本総代理店になった。13年には公認販売店制をとり、約70社が日本国内での公認販売店になった。

開発者でキュボロ社のエッター社長によると、日本での人気高騰ぶりに対応しようと、スイスの他の工場、あるいはドイツ、イタリア、ハンガリーなど他国での生産を試みたが、費用面で折り合わなかったり、品質面に問題があったりした。このため、結局キュボロは当初通りスイスにある1つの木工所で作り続けている。

そのうえで、「特別な生産シフトを組み、フル稼働で生産しています。来年に向けて新しい機械の導入を試み、より短い期間での生産性を上げることで、生産量をふやし需要に対応してゆく」としている。

●NEW スタディ将棋 日本将棋連盟が監修。駒に、その駒の進み方が書かれている。くもん出版はKUMONのグループ会社。1980年に公文教育研究会の出版部門として発足、88年に独立。出版物や、知育玩具の製作・販売を行っている。

情報源: 将棋の藤井聡太四段という天才を育んだ秘密は幼少期のこの玩具にあり?:イザ!

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