【関西の議論】知らぬ間に台湾に「分店」が…有名うどん店が巻き込まれた〝パクリ騒動〟 元常連客が無断で開店(1/6ページ) – 産経WEST

これなぁ・・・


外国人観光客らが行列を作る奈良市の名物うどん店「麺闘庵(めんとうあん)」が、台湾に「分店」と称する店を無断で出店される“パクリ騒動”に巻き込まれた。店は、揚げの中にうどんを入れた「巾着きつね」が人気メニューだが、昨年7月にオープンした台中市の店も同様のメニューを売り物にし、近年の日本食ブームもあって話題を呼んだ。ところが偽物の存在を知った本家が自分の店に張り紙をして“パクリの事実”を指摘したところ、ネットを通じて台湾の店への批判が起こり、フェイスブックも大炎上。台湾側のオーナーはもともと奈良の店の常連客で、店主と撮った写真などを「のれん分け」の証拠として使っていた。現在はそうした虚偽の説明を削除したようだが、本家の怒りは収まらない。騒動の顛末(てんまつ)は-。

奈良の麺闘庵(上)と、台湾の麺闘庵の外観。文字のデザインまでそっくりだ(Facebookなどから合成)

「本店に通うこと10回以上、ついに分店を出すことを認められた」と偽PR

「麺闘庵分店」を名乗る店は昨年7月6日、台中市にオープン。台湾では日本食の中でも麺類の人気が高く、「日本風うどん」の店として脚光を浴びた。

特に台湾の人々をひきつけたのは、店側が当初フェイスブックに掲載していた「開店ヒストリー」の内容で、そこでは本家の奈良・麺闘庵からのれん分けされたとし、経緯などを説明していた(現在は削除)。

「奈良の麺闘庵の創始者は、全国で1番おいしいうどんを作るため、各地方で3年をかけてだしや麺などの研究を重ね、ついに『福袋うどん』(「巾着きつね」のことと思われる)を作り出した」「奈良の“麺闘庵”は品質保持のため、チェーン展開をしていない」

開店ヒストリーではまず、奈良の店のすばらしさを紹介。そして、「台湾の麺闘庵のシェフたちは、10回余り麺闘庵の創始者を訪ねた。1番おいしいうどんを台湾に持ち込みたいと希望を伝えたが、はじめは創始者は首を縦に振らなかった」「しかし、絶えず店を訪れ、完璧な経営規則を提出すると、ついに創始者は応えてくれた。ここに台湾初の“麺闘庵”が誕生した」とした。

さらに台湾の麺闘庵の魅力について、「ミシュランシェフの厳選した麺、昆布、スープ、設備を直輸入。奈良に行かなくとも麺闘庵のうどんが食べられる」と記していた。

しかし、このヒストリーは全て作り話だったことがのちに発覚する。

奈良の「麺闘庵」の名刺(上)と台湾の「麺闘庵」の名刺。デザインはほぼ同じだ(Facebookなどから合成)

特製巾着の中にうどんがぎっしり

そもそも、人気の「巾着きつね」とはどんなうどんなのか。近鉄奈良駅近くの麺闘庵を訪ねてみた。

「忙しいところ、来てくれてありがとう」と歓迎してくれたのは代表の津保井勇さん(66)。「うどん好きが高じて」50歳で脱サラし、平成19年4月に店をオープンした。

さっそく「巾着きつね」をいただく。どんぶりの中には、長さ19センチほどの大きな油揚げの巾着袋がどーんとあった。袋の先はネギで結ばれている。一見、おでんの「もち巾着」の大きなものが浮かんでいるようだ。

箸で袋を破ると、中にはうどんがぎっしり。しょうゆベースでシンプルながらも少しこってりとしただしが、油揚げと柔らかめの麺によく合う。

津保井さんによると、油揚げはうどんを入れても破れないように厚めに作られた特注のもの。だしがしっかり染みこんでおいしい。巾着に入った麺は、初めは「ちょっと少ないかも」と思ったが、食べ始めるとなかなかなくならない。「普通のうどんなら、大盛りの量」(津保井さん)だという。麺とスープを完食すると、おなかがいっぱいになった。

津保井さんは以前、巾着にタマゴを入れたものを定食のおかずに作っていた。「これ、うどんやったら面白いんちゃうやろか」。思いつきでうどんを入れてみて、巾着きつねが誕生した。見た目のインパクトや面白さがメディアにも注目され、21年ごろからは「巾着きつね」目当てのお客が殺到するように。手間暇かかるため「一日200食未満」が限界で、いつもお昼で完売してしまうという。

名物「巾着きつね」を持つ麺闘庵の津保井勇代表=奈良市

常連客の台湾女性、快く撮った写真を悪用

さて、台湾の店との騒動に話を戻す。

奈良の麺闘庵はこれまで台湾や中国など海外も含めメディア50社以上から取材を受けたが、津保井さんによると、求められれば快く撮影に応じていた店の写真が台湾の麺闘庵のPRで悪用されたという。

台湾の麺闘庵のオーナーは、数年前にお客さんとしてよく店に来ていた台湾出身の女性だという。女性は日本名を名乗り、10回ほど来店。津保井さんは「台湾に店を出す気はないのか」と何度も聞かれたが、「小さい店でも世界でここだけの店にしたいから、『のれん分けはしない』と断っていた」という。

それが無断で分店を名乗り出店されたわけだが、それを知ったのは昨年7月。近所で知人に「大将、台湾に店出したん?」と突然聞かれたのがきっかけだ。「何のこと?」と問い返しても、「出すなら出すっていってくれればええのに。水くさい」と話はかみあわない。インターネットで調べてみると、「麺闘庵の海外分店第1号が開店。台湾で奈良本店の味が楽しめる」などと台湾で紹介されていることが分かった。

台湾の麺闘庵のフェイスブックなどには、津保井さんとあの女性が奈良の店でテーブルを囲んで一緒に写っている写真などが掲載されたいた。気軽に撮られた写真が、「のれん分けの証拠」として悪用されていたのだ。

フェイスブックだけでない。メディアも当初は分店と紹介。台湾紙には、原材料だけでなく、食器なども全て日本からの直輸入で、巾着きつねはあっさりとした鰹と昆布ベースのスープ-と書かれた。

だが奈良の店のスープはしょうゆベース。津保井さんがフェイスブックなどを見たところ、台湾の店の油揚げやスープの色合いはほとんど同じだったといい、メニューや内装は奈良の店のデザインをそのままコピーしたもののようだという。

青ざめた津保井さんはすぐに自分の店に、「分店」を否定する張り紙を中国語や英語で張り出した。「当店は海外分店などない。“台湾麺闘庵”のオーナーは当店で勉強したことも、厨房(ちゅうぼう)に入ったことすらない。当店と台湾の店は無関係である」と説明した。

台湾・台中市の「麺闘庵」の「巾着きつね」。奈良の「麺闘庵」とスープや油揚げの色は違うが、よく似ている(Facebookより)

「恥知らず」「台湾人のメンツつぶすな」と大炎上

津保井さんが店に張った紙は大きな効果を生んだ。台湾の観光客が奈良の麺闘庵を訪れた際、見つけた張り紙の写真をネットにアップしたところ、台湾の麺闘庵のフェイスブックは大炎上。レビューには1つ星の評価(最高は5つ星)が5千件以上も付けられ、「恥知らず」「台湾人のメンツをつぶさないでくれ」「名前を使う権利などこれっぽっちもないくせに」など、店を痛烈に批判するコメントが相次いで書き込まれた。

現地メディア「アップルデイリー」によると、台中市政府の消費者保護官も「名前が同じなので、消費者に日本の分店と誤認させる恐れがあり、だまされたと感じれば賠償を要求することもある。混乱を避けるためにも業者は日本の分店でないことを明確にした張り紙をするか、ネットで告知すべきだろう」とコメントした。

これに対し台湾の麺闘庵は「台湾での登録も済ませており、シェフは日本の大阪讃岐うどん麺製作所や大和製作所での訓練も積んでいる。スープは(日本人の)ミシュランシェフに台湾まで来てもらって指導を受けた。台湾人と日本にいるオーナーが一緒に経営している。品質管理も徹底している。台湾人のメンツは保たれている」とフェイスブックで反論。

また女性オーナーは現地の東森新聞の取材に対し、「1年前に口頭で『店名も同じでOKだ。ライセンス料も要らない』と承諾を受けた」「日本人は約束を守るはずだと思っていたけど、そうともかぎらないようだ。商売人にはいい人もいれば悪い人もいる」と、津保井さんを“悪者”扱いにまでして釈明した。

「台湾に分店を出したことはない」とする奈良・麺闘庵の店内の張り紙

法的措置は…「やられ損」と嘆く店主

津保井さんは台湾の店側の説明は「すべて事実無根だ」として法的措置も考えていたが、「まだ借金も残ってるのに、国外で訴訟を起こすには莫大(ばくだい)な金がかかると聞いて諦めた」といい、「完全なやられ損や」と悔しさをにじませる。

脱サラして店を始めて10年。決して順風満帆だったわけではなく、売り上げが伸び悩んだ時期には、思い詰めたこともあったという。「巾着きつね」のブームは、「このままでは借金を返しきれない」「どんなうどんを作れば喜んでもらえるのだろうか」と、さまざまな試行錯誤の末にたどりついた自慢の逸品だった。そんな名物を盗まれたのは、「生みの苦しみを分からない人に、大切な子供を盗られたような辛く腹立たしい気持ち」と話す。

「今後も分店を出すことはない」という津保井さんには、こんな思いがある。「小さい店でも、『ここにしかない』うどん屋でありたい。『津保井っておっちゃんがうどん屋やってたな』って」。そして、「世界でここだけの店、自分の名前が長く残るような店にするためにも、ずっと奈良で頑張るわ」と力を込めた。

ところで台湾の店はどうなったのか。4月中旬、訪台した別の記者に店の取材を頼んでみたが、フェイスブック記載の住所に店は見あたらなかったという。フェイスブックには一部の写真などは残るものの、当初の説明文などは削除されている。

麺闘庵の店内。世界各国から来店した客の写真がずらりと並んでいる=奈良市

(神田啓晴)

情報源: 【関西の議論】知らぬ間に台湾に「分店」が…有名うどん店が巻き込まれた〝パクリ騒動〟 元常連客が無断で開店(1/6ページ) – 産経WEST

なんだ、台湾の店は行方をくらませたのか?

麺闘庵 (めんとうあん) – 近鉄奈良/うどん [食べログ]