「てんぷらちくわ」か「ちくわてんぷら」か 公民館や地域の定番おかず 「謎の佐賀県民食」継承の危機? [佐賀県]

磯辺揚げじゃないのか・・・


秋の行楽シーズン。運動会や地域の集まりで食べた方もいるのではないだろうか。丸天や角天とちくわを一口大に切って甘辛く煮た定番おかず。「あ、あれね」と県民ならほとんど思い当たるようだが料理店ではまずお目にかからない。しかも呼び名は県内で二分されるという。大手検索サイトでもほとんどヒットしない、謎の県民食を追ってみた。

自分自身は福岡市出身。前任地は長崎市。練り物が盛んな土地だが、ちくわ、丸天の単品を切って食べたり、おでんに入れたりはしても、その二つを一緒に煮るのは聞いたことがない。まずは勤務地、鳥栖市内の居酒屋で聞いてみた。

「たまに家の食卓にのぼる」という声のほか、「地域の川掃除の後に、だいたいおむすびと一緒に出てくる」「公民館での集まりの後に酒のつまみに出る」「上棟式で親戚が集まった時に食べた」など、大勢の集まりに登場することが多いようだ。

「運動会のお弁当では定番でした。高校時代、弁当のおかずがそれだけで、がっかりしたこともありますよ」と、鹿島市出身の本紙若手記者。簡単な料理で、がっかりはしたが嫌いなわけではないという。

どんな料理なのか。「うちのまかないでは週3回は食べます。まず嫌いな人がいない」と話すのは、佐賀市富士町古湯の温泉旅館「千曲荘」の岸川裕幸さん(44)。「料理と言えるのかどうか分からないが、丸天とちくわを切って醤油とみりんと砂糖で煮るだけ。好みでタカノツメを入れたり、ゴマを振ったりですね」とのこと。「簡単で冷めてもうまい。ゆずごしょうをつけると、お酒のつまみに最高です」と話す。

若手記者が母親に聞いたところ「練り物にもう一度火を通すことで、傷みにくくなり、屋外などで大人数が集まる時には最適。丸天の油がちくわにもまわってこくが出ておいしくなる」というのが、人気の理由のようだ。

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この料理の呼び名。岸川さんは「絶対にてんぷらちくわです」といい、若手記者は「てんちく」と略して呼ぶ。一方、みやき町の六田竹輪(ちくわ)蒲鉾(かまぼこ)企業組合に尋ねたところ「このあたりでは、ちくわてんぷらです」ときっぱり。

佐賀市在住で、温泉とお酒の文化研究家の平尾茂さん(65)は、数年前から県内で呼び方が違うのに気づき、県内各地を講演で回るたびに来場者に尋ねているという。

「嘉瀬川を境に佐賀市や同市諸富町、神埼市などの東はちくわてんぷら、鹿島市、白石町など西はてんぷらちくわと呼ぶのではないかと仮説を立てています。もちろん結婚や転勤などがあるので、鹿島市の人でも母親が佐賀市出身だったりするので、家々ごとに違いはあります」

佐賀市の野中蒲鉾に尋ねたところ「佐賀ではちくわてんぷらです。丸天とちくわを100枚ずつ買っていかれる方もいますよ」。一方、鳥栖市内の焼き鳥店で常連客に尋ねたところ、仮説とは違って「てんぷらちくわ」派が多数。ちくわとてんぷらのどちらが先か、なぜか強いこだわりを持っている人が多いようだ。

なぜ「てんぷらちくわ」が佐賀に定着しているのか。いつごろから食べられているのか。県農政企画課に尋ねてみた。

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「てんぷらちくわ、確かに県内ではよく食べますよね。しかし他の課にも問い合わせてみましたが、書かれた資料はありません。古い郷土料理の本にも載っていません」と永野明弘係長(43)。鹿島市出身で「てんぷらちくわ」派の永野係長は「手軽なタンパク源として食べられてきたのだとは思いますが…」と話すが、確証はないようだ。

出会う人ごとに尋ねていると、気になる声があった。「てんぷらちくわは昔の話よ。区役(地域の清掃活動)とか集まりがあった時は必ず出よったけど、このごろは高齢化で地域の集まりもなくなってきた」。佐賀市の馬郡蒲鉾でも「最近は公民館の集まりでも弁当店や仕出店に頼むことが増え、ちくわてんぷらは少なくなってきた」と話す。クリークの清掃など、地域の活動が不可欠だった佐賀で育まれてきたが、時代とともに消えていくのだろうか。

「ちくわてんぷら」派という平尾さんは「佐賀のソウルフードであり、地域の人と食べる公民館的料理。なくなっていくのは寂しい。これからは居酒屋や料理店で出してほしいし、佐賀の地酒とともに味わう会を開きたい」と「ちくわてんぷら」にエールを送る。

=2016/11/10付 西日本新聞朝刊=

情報源:「てんぷらちくわ」か「ちくわてんぷら」か 公民館や地域の定番おかず 「謎の佐賀県民食」継承の危機? [佐賀県] – ライブドアニュース

「ちくわの磯辺揚げ」とか好きなんだが。