増える製品名を出さないCM 広告規制のある処方薬の販売戦略とは (1/2) 〈AERA〉|dot.ドット 朝日新聞出版

広告としてそれでいいのか?


広告規制のある処方薬の販売戦略とは(※写真はイメージ)

商品名やお得感を声高に訴えるテレビCMの後、突然始まる静かなストーリー。患者に優しくほほ笑みかける医師のシーンの後、こんなメッセージが流れる。

「いまや最短12週間。飲み薬のみの治療で治癒を目指せる時代となりました」

最近、よく目にする「C型肝炎」のCMだ。治療薬「ハーボニー」などを販売するギリアド・サイエンシズが広告主になっている。

これまではインターフェロン注射による治療がメインで、治癒率も決して高くはなかったC型肝炎。そんな夢のような薬なのであれば、なぜ製品名を出さないのだろうか。

国民の健康に大きな影響を与える可能性のある抗がん剤など、医師が処方しないと危険な医療用医薬品は、一般への広告が制限されているからだ。

「薬そのものを宣伝できないため、病気を宣伝するのです。これが『疾患啓発』です」

医療関係の広告会社関係者はこう話す。

「医師に相談」などと病気を宣伝することで病院に人を集め、結果的にその薬を使ってもらおうという狙いだ。MRが医師にいくら薬を宣伝しても、患者がいなければ仕方がない。先のC型肝炎のテレビCMでは最後、こんなメッセージが流れる。

「『治そうC型肝炎』で検索」

実際にネットで検索すると、C型肝炎の専門医療機関を検索できるページにたどり着く。

処方薬のプロモーションにかける費用は一般的に、想定売上高の3%程度とされる。ただ、薬を直接、広くPRすることはできないため、医療専門誌で専門家のインタビュー企画を仕掛けたり、医薬関係の学会誌に広告を出したりするのが普通のやり方だ。

「そうした広告は、製薬会社のMRが持つ営業資料になります。会員費で運営される学会誌は厳しいが、専門誌は製薬会社の意図も入れやすい」(先の関係者)

そんな中、あえてテレビCMを打つのは「よほど潜在患者がいる場合に限る」。テレビCMとなると億単位の費用がかかる。すでに広く知れ渡り、治療薬もたくさん出ている病気ではペイしない。

「一番大きな予算がつくのは、潜在患者がたくさんいると思われながら、あまり知られていない病気です」と話す先の関係者は、「ここ数年で最も成功した疾患啓発はうつ病」と指摘する。

以前は、特定の人がひそかに精神薬を服用する、というイメージだったうつが、2000年ごろから疾患啓発CMが始まると「心の風邪」というフレーズが定着。1990年代末に約45万人だった患者数は現在、100万人を超えている。今では街で「メンタルクリニック」という看板を見つけるのも難しくなくなった。

ほかにも、アニメ「ちびまる子ちゃん」のキャラクターを起用した認知症、舘ひろしさんを起用した禁煙、武田鉄矢さんを起用した神経障害性疼痛のCMなど、記憶に残っている人も多いだろう。

疾患啓発には、潜在的な患者に治療の機会を与えるという利点がある一方、治療薬についての情報は教えてくれない。「知られていない=薬の副作用も十分に周知されていない」ともいえ、注意が必要だ。(編集部・澤田晃宏)

※AERA 2016年11月7日号

情報源: 増える製品名を出さないCM 広告規制のある処方薬の販売戦略とは (1/2) 〈AERA〉|dot.ドット 朝日新聞出版


どうなんだろうな、これって。