「臭くてたまらん!迷惑だ」隣家トラブル 因縁20年、法廷バトルの顛末は…:イザ!

ひでぇな。

【衝撃事件の核心】

はらはらと落ちる枯れ葉を見ると、感傷的な気分になるものだ。季節の移ろい、秋の澄み切った空気、そして一抹の寂しさ…。だが、大阪の住宅街に立つシイの古木が呼び起こした感情は、そんな生やさしいものではなかった。

「花は臭くてたまらない。枝や落ち葉は大迷惑!」。隣地から越境してきた枝や落ち葉のせいで雨どいが詰まり、敷地の資産価値も下落しているとして、女性がシイの所有者側に枝の伐採を求める訴訟を大阪地裁に起こしたのだ。対する所有者側は「シイの木は住民に親しまれている」と真っ向から対立した。双方は20年以上前にも、土地の境界をめぐって訴訟沙汰になっている因縁の関係。司法が下した判断は-。

降り積もる落ち葉

判決や訴訟記録から、ご近所トラブルの経緯をたどる。

現場は大阪府内のある住宅街。関東在住の女性が所有する約250平方メートルの土地には一軒家が建ち、高齢の母親が1人で暮らしていた。家屋部分以外の敷地は月極駐車場として整備されていた。

女性方の隣地には会社の事務所があった。会社は昭和55年ごろに、すでに樹齢を経た大木を敷地内に植樹した。ブナ科シイ属の常緑広葉樹「スダジイ」。シイの木は年輪を重ね、高さ約20メートル、直径1メートルに及んだ。枝は女性方の敷地にも張り出し、落ち葉が女性方の屋根に積もって雨どいを詰まらせているほか、駐車場の車の上にも降り積もった。

常緑広葉樹は季節を問わず葉を落とす。女性の母親は頻繁に落ち葉掃除を余儀なくされた。それだけではない。駐車場のうち、最も会社寄りの区画は落ち葉のせいで事実上貸し出すことができない状態になっているという。

女性側は昨年1月、代理人を通じて会社側に枝の切除を求めたが、会社側は意外なことを言い出した。かつて女性の父親(故人)との間で「枝が張り出してもかまわない」という合意を取り交わしたというのだ。

そんな話は聞いたことがない-。女性側は合意書の提出を求めたが、会社側は書面はないと突っぱね、枝の切除にも応じなかった。

民法233条1項は「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる」と規定している。会社側の態度に業を煮やした女性は昨年3月、伐採を求めて大阪地裁に提訴した。

「合意」あったのか

亡き父親と会社との間に本当に合意は存在したのか。訴訟で会社側は以下のように主張した。

およそ36年前にシイを植える際、女性側の土地との境界に塀を設置した。塀は自社敷地内に建てたが、庇部分や枝の一部が越境してしまうかもしれない。そこで会社側は当時存命だった女性の父親と協議し、父親側に10万円を支払い、以後は父親が「一切異議を述べない」との契約を締結したという。

会社側は父親との関係をおもんぱかり、あえて契約内容を書面化せず、領収書も要求しなかったという。ただ55年7月ごろに設けた合意の席には父親のほか女性の母親も同席。そして合意は父親の死後も相続人である女性に引き継がれ、効力を発揮している、と主張した。

女性側は「樹木の越境に関する合意など存在するはずがない」と認めない。女性の父親と会社の間ではかつて、土地の境界をめぐって訴訟になったことがあった。女性側の代理人が入手した約20年前の判決文には、以下の記述があった。

《塀の屋根の一部が女性側の土地に侵入していることにつき、会社は女性の父親に迷惑料を支払うことや父親の土地利用に支障が生じたときは撤去することなどを約した書面を原告に差し入れ…(以下略)》

確かに「合意」はあった。ただ、その合意はあくまで塀に関するものだとして、女性側はこう訴えた。

「樹木については何らの合意もない。会社側は塀の屋根部分に関する合意と樹木の枝の越境を、意図的かどうかは知らないが、混同して主張している」

古木の“価値”主張

双方の認識が真っ向から食い違う「争点」はまだある。

会社側はシイの木の価値を強調した。「古木であり時価数百万円」としたうえで、「長年にわたり植生され、住民からも親しまれ、緑が多いとはいえない近隣の景観に、好影響を与えている」というのだ。

古木ゆえに5センチ以上枝を切ると葉の栄養が幹に行き渡らない恐れなどがあり、女性側の主張通りに枝を伐採すると一気に樹勢が衰え、枯死する危険性があるとした。

一方、女性は陳述書で「木は近隣住民から疎まれている。春の終わりから初夏にかけて花をつけるが、大変臭い。近くの方も『臭くてたまらない』と大変迷惑を被っている」と怒りをあらわにした。落ち葉のせいで駐車場代を本来の1万円から8千円に値下げせざるを得なかったことや、樹木侵入のせいで不動産価値も下がったと訴えた。

陳述書の最後にはこう付け加えた。「会社は枝を切除すると立ち枯れになると主張しているが、そもそも適切に管理すればこんな事態にならない。枯れても当家には関係なく、自業自得だ」

第1ラウンドは女性勝利

注目の1審判決は今年9月にあった。

「被告(会社側)は土地の境界線付近に生育する樹木1本のうち、境界線を越える部分を切除せよ」。女性側の全面勝訴だった。

判決は会社側が指摘した合意の存在は認められないと判断。枝が境界線から張り出さないようにする手入れを会社側が全くしていないこと、落ち葉などで女性側に実害が生じていることを認定した。

さらにシイの木の価値についても「特別に保護すべき事情もうかがわれない」と会社側の主張をバッサリ切り捨てた。

会社側は判決を不服として控訴した。因縁の対決の終わりはまだ見えない。

隣地の会社事務所から越境してきたシイの古木の枝や落ち葉の被害に悩まされてきた女性。枝の伐採を求めて提訴したが…

焚火という名の野焼きをするやつらから、迷惑料を徴収できないかね・・・