カレーの歴史を洗い直したら大きな謎に突き当たった|食の安全|JBpress

英国にインドからカレーは何時伝わったのか?

記録はどうにも、あいまいで・・・

日本ではさまざまな媒体で、1772年頃、英国人ウォーレン・ヘイスティングズ(「ヘイスティングス」「ヘイスティング」の表記もあり)が、カレーの原料となるスパイスをインドから持ち帰ったと説明されている。ヘイスティングズ(1732-1818)は、インド初代総督で、1772年当時はベンガル知事だった。インド総督に就いたのは翌1773年から1786年までだ。

ヘイスティングと言う英国人が伝えたのかと思えば・・・

そこで、チャールズ・ローソン卿という人物が1895年に著した『The Private Life of Warren Hastings(ウォーレン・ヘイスティングズの私的生活)』(ロンドン・スワン社刊)を読んでみると、本国の英国に「カリ」を持ち帰ったとされる1772年、ヘイスティングズは、「カルカッタでの新たな役職の仕事に忙殺されていた」とある。同年、彼はマドラス管区における参事会メンバーから、カルカッタ知事へと役職を移していた。そして、この年、ヘイスティングズが本国の英国に帰国をしたという記述は見当たらない。

と、そもそもその時期には英国に居なかったとか・・・

ヘイスティングズがおそらく人生で初めてインドに渡った1750年よりも前に、英国で「インド式」としてカレーの作り方が料理書に載っていて、具体的な香辛料が書かれていた。少なくとも、ヘイスティングズが関わるより前に(関わっていればの話だが)、英国ではインド式を意識したカレー作りのための香辛料が存在していたことになろう。

分かっているのは、英国のカレーがインドから伝わったのは18世紀のいつかであるということ。しかし、誰がどのような形で、カレーを作るためのスパイスなどの材料をインドから英国に初めて持ち込んだのか。日本のカレーの“源流の源流”には謎が残されている。

結局、はっきりしたことはわからないという結論か。


  • 香辛料 : その歴史とカレー (山崎峯次郎)|書誌詳細|国立国会図書館サーチ