裁判員候補3人に1人欠席=審理日数増、雇用情勢影響-制度開始から8年・最高裁

制度が未成熟。


裁判員制度がスタートして21日で8年ですが、裁判員の候補者が参加を辞退する割合が上昇していて、最高裁判所が初めて原因を分析したところ、非正規雇用の増加といった雇用情勢の変化などが影響している可能性が高いとする結果がまとまりました。

裁判員の候補者が参加を辞退する割合は、年々上昇していて、制度がスタートした平成21年は53.1%だったのに対し、おととしは64.9%に上っています。

これを受けて、最高裁判所が去年からことしにかけて民間の調査機関に委託して初めて原因の分析を行ったところ、非正規雇用の増加や人手不足といった雇用情勢の変化のほか、審理の長期化などが影響している可能性が高いとする結果がまとまりました。

このうち雇用情勢への影響については、非正規雇用の増加に伴うような形で辞退率が上昇していることを根拠の1つとしています。

非正規雇用の労働者の数は、総務省の統計では、裁判員制度が始まった平成21年は1727万人でしたが、おととしは1986万人に増えました。そして、辞退を申し出た候補者のうち仕事を理由に挙げた人の割合も、平成21年は全体の13%だったのに対し、おととしは18.6%に増えています。

また、ことし1月から2月にかけて、全国の20歳以上70歳未満の男女5000人を対象に、インターネットを通じてアンケート調査を行ったところ、「裁判員裁判に参加したい」、または「参加してもよい」と答えた人の割合は、正社員では合わせて31.8%だったのに対し、派遣社員では24.5%、パートとアルバイトでは18.6%にとどまったということです。

こうしたことから、最高裁は非正規雇用の増加が辞退率の上昇に影響している可能性が高いとしています。

また、審理の長期化については、同じアンケートで参加できる日数を聞いたところ、審理期間が3日間の場合、「参加できる」という回答が74.9%だったのに対し、5日間の場合は20.8%にとどまったということです。裁判員裁判の平均の審理日数は、平成21年は3.4日だったのに対して、おととしは6.1日まで増加していて、参加しやすさに影響していると見られます。

最高裁は「今回の分析結果を基に、より多くの人たちに参加してもらえるように対策を検討していきたい」としています。

経験者「同じ立場の人には勧められない」

派遣社員として働きながら裁判員裁判に参加した人の中には、「同じ立場の人には勧められない」と感じている人もいます。

東京都内に住む派遣社員の40代の女性は、去年、東京地方裁判所で開かれた裁判員裁判で補充裁判員に選ばれ、7日間にわたって審理に参加しました。派遣先の企業には、裁判員に選ばれた人のための有給休暇がありましたが、派遣元には同じ制度はありませんでした。女性は体に障害があり、病院に通うためなどに通常の有給休暇を使い切っていたため、無給で休みを取って参加しました。裁判所からは7日分の手当が出ましたが、交通費を入れても、ふだんの給料の7割程度にしかならなかったといいます。女性は、「参加したことはよかったけれど、給料を見てがく然としました。携帯の料金を支払えず、食費などを切り詰めて1か月間過ごしました」と振り返っています。

さらに、裁判員裁判に参加することを派遣先の会社に伝えると、周りから嫌みを言われたことがつらかったと言います。派遣先の社員からは「決算の忙しい時期に裁判員と会社のどちらを選ぶといったら会社を選ぶよね」とか、「次の派遣社員は裁判員候補者の名簿に載っているか確認してから採用しよう」などと言われ、罪悪感を感じたといいます。

女性は、同じ非正規雇用の人から裁判員裁判への参加について相談を受けたら、心から勧めることはできないと感じています。女性は「参加することのマイナス面がすごく強いので、『何も心配することはないよ、行ってらっしゃい』とは言えません。国が作った制度なのに企業に浸透していないから、休みがすごく取りにくいです。今のままでは誰もが参加できる制度ではないと思います」と話しています。

休暇制度の現状は

裁判員制度のスタートに合わせて、企業の間では、裁判員に選ばれた従業員のための休暇制度を設ける動きが広がりました。裁判員に選ばれると、少なくとも数日間は裁判所に通うことが求められるため、企業の従業員などは、必要に応じて休みを取ることが法律で認められています。また、裁判所や法務省などは、より参加しやすくするために、企業などに対して特別な有給休暇の制度を設けるよう呼びかけています。

しかし、厚生労働省が昨年度、全国の企業1万社を対象に行った休暇制度についての調査では、回答した2091社のうち、裁判員のための有給休暇の制度を導入しているのは30%にとどまりました。また、非正規雇用の人たちの状況を調べるため、NHKが大手の人材派遣会社5社に取材したところ、登録している派遣社員のために有給休暇の制度を設けていると答えたのは3社で、残りの2社は休暇は取得できるものの、無給の制度でした。

裁判員を経験した人たちに対する取材では、派遣社員やパートとして働いている人から、「会社を何日も休むと同僚から嫌な顔をされるので、非正規の立場では参加したいと言いづらい」といった声も聞かれました。市民の感覚を広く取り入れるという裁判員制度の趣旨が損なわれないように、多くの人たちが参加しやすい環境をどう整えるかが課題となっています。

専門家「参加しやすい仕組みを」

裁判員の制度設計に携わった國學院大学法科大学院の四宮啓教授は、今回の分析で見えてきた問題点について、「裁判員の間で雇用形態の偏りが今後大きくなっていくと、幅広い社会の声を裁判に反映しようとする制度の趣旨が損なわれてしまう」と懸念しています。

そのうえで、「非正規雇用の人たちが立場が弱いと感じているというのは非常に理解できることなので、企業や団体の側が十分な配慮をする必要がある。制度開始から8年となるこの機会に、制度の公共的な意味をもう一度捉え直し、雇用形態にかかわらず参加しやすい仕組みを作り直してもらいたいし、裁判所も企業側に理解を求めていく必要がある」と指摘しています。

情報源:裁判員の辞退増加 最高裁「雇用情勢の変化が影響か」 | NHKニュース


裁判員候補者の出席・辞退率と平均審議予定日数の推移

21日に制度開始から8年を迎えた裁判員制度で、選任手続きに呼び出された候補者の出席率は昨年、64.8%に低下し、3人に1人が欠席する状況となっていることが最高裁のまとめで分かった。「審理予定日数や非正規雇用者の増加などが影響している可能性が高い」とする民間機関の分析を受け、最高裁は対策を検討する。

裁判員候補者は選挙人名簿から無作為で抽出され、さらに対象事件ごとにくじで選ばれた人が選任手続きに呼び出される。「70歳以上」や「重要な仕事」など正当な理由があれば辞退できる。

最高裁によると、正当な理由を告げて手続きの当日までに辞退した候補者は、2009年の制度開始時は53.1%だったが、16年は64.7%に増加した。選任手続きへの出席率は83.9%から64.8%に落ち込んだ。

こうした事態を受け、最高裁は出席率低下などの原因分析を初めて民間のコンサルタント会社に依頼。5000人を対象に今年1~2月に行ったアンケート調査と各種統計データを基に検証した。

その結果、09年に3.4日だった平均審理予定日数は16年には6.1日に増えており、長引けば辞退率などが高くなる傾向が判明。アンケートで正規雇用者よりも参加意欲が低調だった非正規雇用者の増加の影響も「否定できない」とされた。呼び出し状を再送するなどの対策を取っている地裁では、出席率が高い傾向も明らかになった。(2017/05/20-17:15)

情報源:裁判員候補3人に1人欠席=審理日数増、雇用情勢影響―制度開始から8年・最高裁 | ニコニコニュース

情報源:裁判員候補3人に1人欠席=審理日数増、雇用情勢影響―制度開始から8年・最高裁 (時事通信) – Yahoo!ニュース

情報源: 裁判員候補3人に1人欠席=審理日数増、雇用情勢影響-制度開始から8年・最高裁:時事ドットコム


もっと言えば、企業側の義務にしないと意味がない。
就業者が(正規・非正規に関わらず)裁判員に選出されたら、有給休暇の取得を認める事を。