ビル解体「静かに、きれいに」を実現 清水建設「クールカット工法」:イザ!

ほぉ・・・


【スゴ技ニッポン】

鉄筋コンクリートなどで作られた頑丈なビルの解体工事には、振動や騒音、粉塵(ふんじん)といった周辺環境への悪影響が無視できない。そんな常識を覆す業界初の工法を清水建設が実用化した。新開発の「シミズ・クールカット工法」は、従来工法と比べて粉塵を90%、騒音を24%軽減しており、振動はほぼゼロ。工期の短縮も図れる。環境に配慮した新たな工法として、近隣に病院や学校などが並ぶ市街地での解体工事に威力を発揮しそうだ。

ワイヤーが梁内部の鉄筋を切断する際には、火花が散る

引かず砕かず、押して切る

同工法は、ショベルカーのアームの先に、専用のアタッチメント(付属装置)を取り付け、建物の柱や梁(はり)を、搬出しやすい適度な大きさのブロックに切断・解体していく。

アタッチメントは、ダイヤモンドの粒が入った長さ約7メートルのワイヤをモーターで高速回転させ、糸のこのように柱や梁を「押し切る」駆動装置と、粉塵やワイヤの過熱を抑える散水装置などが一体化されている。清水建設が基本設計を行い、ドリルやカッターなどを製造するコンセックが約1000万円で製作した。

こうした解体作業は、駆動装置を床に置き、柱や梁の周囲にワイヤを回して「引き切る」工法が一般的という。その場合は駆動装置を床に固定する作業などが必要で、段取りに時間がかかる。また回転中のワイヤが切れて飛び跳ねるケースもあるため、安全のために作業員が退避する必要もある。

さらに、ショベルカーに“かに挟み”のようなアタッチメントを取り付けて破砕する作業方法の場合、発生する粉塵や騒音、振動は格段に大きい。砕けた部材が周囲に飛散したり、壁などが予期しない方向へ倒壊・落下したりといった危険に加え、粉砕された部材が足元に散らばって搬出がしにくいという作業上の面倒さもある。

その点、「シミズ・クールカット」はショベルカー自体のエンジンは動かさないため静かで振動がなく、粉塵の防止も、回転するワイヤの幅15ミリの部分に散水すれば事足りる。同じ太さの梁などを切断する場合、「引き切り」では段取りを含め約2時間かかる作業が、30分ほどで完了するという。梁などにクレーンでつり上げるための治具を取り付けておけば、切断後は下に落とさず、そのままトラックに積み込んで運び出すことができる。

アームの先に、柱や梁を切断するアタッチメントを取り付けたショベルカー。操作は運転席のパネルで行う

交通騒音と同じレベル

清水建設は同工法を2010年から開発、13年に実用化した。同社広島支店の解体工事などで効果を確かめた後、昨年7月からSUBARU(スバル)群馬製作所(群馬県太田市)の社屋建て替えに伴う解体工事で初採用。現場は市街地で民家も近接しているため、発注者から周辺環境への対策を求められ、同工法を提案したという。

今年2月に同製作所の現場を取材したが、まず実感したのは静かさだ。切断対象の梁に押しつけた後のアタッチメントは専用バッテリーで駆動し、ショベルカーのエンジンは止めているので、発生する騒音の大きさは、15メートル離れた敷地境界で63デシベル。目の前を走る国道407号の交通騒音によってかき消される程度のレベルだ。説明通り、振動も感じられなかった。

「従来工法の場合、病院や学校周辺の解体現場などでは作業可能な時間が限定される場合も多い。そうした現場で特に大きな効果を発揮するだろう」と、新工法を開発した印藤正裕・生産技術本部長は胸を張る。

今回は鉄筋コンクリートの解体だが、鉄骨鉄筋コンクリートの場合は工期短縮効果がさらに大きく現れるという。同社は今後、環境負荷の軽減をアピールして受注増につなげるという。(経済本部 山沢義徳)

情報源: ビル解体「静かに、きれいに」を実現 清水建設「クールカット工法」:イザ!

へぇ・・・