金延べ棒、受け取れるのは100歳!? 卑劣な兄弟会社、高齢者だまし12億円集金:イザ!

えぇ・・・


兵庫県警が押収した貴金属販売会社「エコライフプロモーション」のパンフレットなど=神戸市兵庫区

【衝撃事件の核心】

金地金(延べ棒)を分割前払いで販売するなどと偽って現金をだまし取っていたとして、兵庫県警が昨年から今年にかけ、大阪市内の貴金属販売会社2社を相次いで摘発した。2社は安定資産としての金の魅力をアピールし、高齢者らから計約12億円を集金。言葉巧みに中途解約ができるように装い、実際には100歳近くにならなければ金を受け取れない非現実的な契約もあった。2社は本来ならライバル関係にあるはずが、定期的に合同会議を開き、契約額などの“業績”を競い合ったり、顧客獲得のノウハウを共有したりしていたという。実は2社はもともと、破綻した先物取引会社から派生した兄弟会社で、逮捕された社員の多くは先物取引のエキスパート。規制強化の隙をついて投資詐欺を企てたとみられ、事件からは警察と詐欺グループのいたちごっこの様相も浮かび上がる。

都合が良すぎる契約

「リーマン・ショックのような事態が起きたとしても金なら安全。有事の時の金ですよ」

1月に県警が詐欺容疑で社長の男(48)=同罪で起訴=ら6人を逮捕した大阪市中央区の貴金属販売会社「エコライフプロモーション」(閉鎖)は、こんなうたい文句で高齢者を次々と投資に勧誘していた。

2008(平成20)年のリーマン・ショック以降、世界的な金融危機への警戒感などから金への投資が流行。東京商品取引所では平成12年に1グラム千円程度で取引されていた金の価格が、25年には一時5千円以上に急騰した。

エコ社はこうした時流を利用し、安定資産としての金の魅力をアピール。電話帳に記載された番号に手当たり次第に電話をかけ、「金の価格は上がり続ける。当社は金の現物を保有している安全な会社です」と分割販売を持ちかけた。

契約時に1キロあたり40万円の頭金と10万8千円の手数料を支払えば、あとは月単位や年単位で決まった代金を振り込むだけで何年後かに金が手に入る。5~20年の長期契約が可能で、1回の支払額は少額だ。金の価値が上がれば、契約を中途解約して差額の利益を受け取ることもできる-。

そんな「消費者にとって都合が良すぎる契約内容」(県警捜査関係者)に魅力を感じる人は少なくなかったのだろう。エコ社は23年7月~昨年1月、近畿などの2府5県で264人の顧客を獲得し、約6億3千万円の現金を集めた。

ただ、県警はエコ社が当初から金を販売するつもりはなく、詐欺のスキームとして金販売を持ちかけたとみて社長らを逮捕。内偵捜査段階の家宅捜索で押収した金の現物が1キロあまりしかなかったことなどが決め手だった。

詐欺容疑で社長ら10人が逮捕された貴金属販売会社「ジェーシーアイ」が入居していたビル=平成28年7月、大阪市中央区

顧客に得はさせない

社長らは「正当な契約」を主張しているとみられるが、県警の調べでは不当なセールスの実態も明らかになった。

県警によると、エコ社は当初、中途解約に応じると説明していたが、実際には顧客が利益を得るタイミングで解約に応じたケースはなかった。金の価格が上がったとして解約を求める顧客には「価格はまだ上り調子」と解約をしないよう仕向けるほか、金の追加購入を勧めていた。

一方、金の価格が下がった場合には、顧客が損をした状態で無理に解約を迫ったり、「契約を続けるなら追加費用が必要」として不当な保証金を要求したりしていた。

県警幹部は「金の価格がどう変動しようが、顧客には金は渡らず、利益を得ることもできない事業形態だった」と指摘する。

例えば契約当時76歳だった被害男性は、解約に応じてもらえないまま金65キロを最大10年間の分割払いで約3億5千万円で購入する契約を結ばされていた。エコ社に支払った代金は頭金や手数料だけで約1200万円に上った。

そもそも、男性が代金を払い終えたとしても、金を受け取れるのは86歳の頃。エコ社の顧客264人のうち8割以上は65歳の高齢者で、中には90代もいたという。100歳近くになってようやく金を受け取れるような契約もあり、エコ社がいかに非現実的な契約を持ちかけていたかが浮き彫りになっている。

同業他社と情報共有

捜査では、さらに興味深い事実も明らかになった。

県警は昨年7月、同様の手口で約5億7千万円を集めていたとして、詐欺容疑で大阪市中央区の貴金属販売会社「ジェーシーアイ」(閉鎖)の社長の男(46)=同罪で公判中=ら10人を逮捕した。実はエコ社が摘発されたきっかけは、ジェー社への家宅捜索で押収した資料にエコ社の記載があったことだった。

県警によると、ジェー社とエコ社の社長はもともと大阪市内の先物取引会社の同僚だった。この会社が顧客から相次いで損害賠償請求訴訟を起こされるなどして20年に倒産したため、2人はジェー社を設立し、その後にエコ社が独立した。奇妙なことに、両社は同時期に金の販売事業を始めたという。

押収資料には両社の月ごとの契約件数の数字が並んでおり、両社が定期的に合同会議を開催し、業績を比較していたことが判明。さらに、日常的に営業結果をメールで情報交換していた実態も浮かび上がった。

同じ商品を売るライバル会社でありながら、セールス手法も勧誘パンフレットも酷似していたという両社。しかし、営業先や顧客は重複していなかったといい、県警は何らかのすみ分けが行われていた可能性があるとみて背景を調べている。

「規制の隙間をついた犯行」

金地金の分割前払い取引(割賦販売)に関するトラブルは、両社に限らず全国で相次いでいる。国民生活センターによると、同センターに寄せられた相談は21年度は1件だったのが、25年度には190件と急増。その後は減少傾向となるが、被害は根強くあり、返金を求める訴訟も全国で起こされている。

なぜ被害相談がなくならないのか。センターはリーマン・ショック以降の金投資人気に加え、先物取引の規制強化も大きな要因とみる。

現物を扱わず、手持ちの資金の何倍もの取引を行うことができる先物取引は、ハイリスク・ハイリターンな傾向から悪質業者による契約トラブルが頻発。23年1月に完全施行された商品先物取引法で、国の許可が必要となる先物取引の範囲が広げられた。この結果、ピーク時に数千社あった先物取引会社は数百社に減少。そのぶん悪質業者が許可のいらない金の割賦販売に流れた可能性があるという。

実際、県警の調べに、ジェー社の社長らは「先物取引が規制されるようになったため、金の割賦販売を始めることにした」と供述。消費者問題に詳しい上田孝治弁護士(兵庫県弁護士会)は今回の事件について「現行法で取り締まることができない規制の隙間をついた犯行だ」と分析する。

いつの時代も、規制が新たにできれば、それをかいくぐる術を探すのが悪質業者の習いだろう。県警幹部は「同種の被害を防ぐためには、まずは金の割賦販売業を許可制にする見直しが必要だ」と訴えている。

情報源: 金延べ棒、受け取れるのは100歳!? 卑劣な兄弟会社、高齢者だまし12億円集金:イザ!

ハァ・・・