「テロ等準備罪」新設法案を閣議決定

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政府は21日の閣議で、「共謀罪」の構成要件を改めて、「テロ等準備罪」を新設する法案を決定しました。テロ組織などの組織的犯罪集団が重大な犯罪を計画し、メンバーのうちの誰かが犯罪の準備行為を行った場合などに、計画に合意した全員が処罰の対象になるとしています。

政府は、テロなどの組織犯罪を未然に防ぐためには一定の要件が満たされた場合に、犯罪の実行前の段階での処罰が可能となる法整備が必要だとして、過去3回廃案となった共謀罪の構成要件を改めて、テロ等準備罪を新設する、組織犯罪処罰法の改正案を閣議決定しました。

法案では、一定の犯罪の実行を目的とする「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」が団体の活動として、重大な犯罪の実行を計画し、計画したうちの誰かが、資金または物品の手配、関係場所の下見など、犯罪を実行するための準備行為を行った場合などに、計画に合意した全員を処罰するとしています。

処罰の対象になる重大な犯罪は組織的な殺人や、ハイジャックなど、テロの実行に関連する110の犯罪や、覚醒剤や大麻の輸出入といった薬物に関する29の犯罪など、277の犯罪が明示されていて、政府は、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定されるものに限定したとしています。

また、罰則については、死刑や10年を超える懲役や禁錮が科せられる犯罪を計画し、準備行為を行った場合、5年以下の懲役か禁錮とするなどとしています。

法相「速やかな成立を」

金田法務大臣は、閣議のあと記者団に対し「法案は処罰の対象となる団体を明文で『組織的犯罪集団』に限定することで、一般の会社や市民団体といった正当な活動を行っている団体が適用対象とならないことを、いっそう明確にしているなど、これまでに示された不安や懸念といったものが払拭(ふっしょく)される内容となっている」と述べました。

そのうえで、金田大臣は「法案が閣議決定されたので、具体的な成案の内容に基づいてしっかりと誠実に説明していく。3年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、国際組織犯罪防止条約の締結のための法整備は重要で急務であり、国会において十分に審議し、法案を速やかに成立させていただきたい」と述べました。

外相「五輪控えるわが国にとって重要」

岸田外務大臣は閣議のあと、記者団に対し、「国際組織犯罪防止条約は、すでに187か国が締結しており、条約を締結し、テロを含む組織犯罪と闘うことは2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控える、わが国にとって、重要なことだ」と述べました。

そのうえで、岸田大臣は「条約の締結に必要なテロ等準備罪を創設することで、テロを含む組織犯罪を未然に防ぐことが可能になるほか、国際協力が促進され、深刻化するテロを含む国際的な組織犯罪に対する取り組みが強化されることになり、大変大きな意義がある。重要な条約を締結するための重要な法律で、政府としても、成立に向けて努力を続けたい」と述べました。

テロ等準備罪とは

政府は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどを控え、テロなどの組織犯罪を未然に防ぐために、一定の要件が満たされた場合には犯罪の実行前の段階でも処罰できるよう、テロ等準備罪を新設することが必要だとしています。

また、テロ等準備罪を新設すれば、重大な犯罪を行うことで合意した場合などの処罰を可能とする法整備を各国に求めている、「国際組織犯罪防止条約」の締結が可能になり、他国の捜査当局との間で直接、情報交換できるケースが大幅に増えるほか、現在は犯罪人の引き渡しに応じない国に対して、条約を根拠に引き渡しを求めやすくなると説明しています。

法務省によりますと、国連加盟国の中で条約を締結していない国は日本、イラン、ブータンなど11か国で、政府はテロ等準備罪を新設して条約を締結し、国際的な組織犯罪捜査の穴を埋めたいとしています。

テロ等準備罪は、かつて政府が導入を目指して、3回、廃案になった共謀罪の構成要件を改め、一定の犯罪の実行を目的とする「組織的犯罪集団」が団体の活動として、重大な犯罪の実行を計画し、計画したうちの誰かが犯罪を実行するための準備行為を行った場合などに、計画に合意した全員を処罰するとしています。

組織的犯罪集団にはテロ組織や暴力団、薬物密売組織などが含まれるほか、当初は別の目的で設けられても、その後、犯罪を目的とする団体に一変した場合には組織的犯罪集団と認定される可能性があるとしています。

また、処罰の対象になる重大な犯罪は、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定されるものに限定したとしていて、組織的な殺人やハイジャックなど、テロの実行に関連する110の犯罪や、覚醒剤や大麻の輸出入といった、薬物に関する29の犯罪など、277の犯罪が明示されています。

さらに処罰するために必要な準備行為の具体例として、資金または物品の手配、関係場所の下見などが法案の条文に明記され、政府は、テロ組織のメンバーが化学テロを計画し、必要な物質を調達した場合などが当てはまるとしています。

一方で、政府は組織的犯罪集団が重大な犯罪の実行を計画しても、準備行為を行っていない段階では処罰されないとしています。

テロ等準備罪めぐる争点

政府が締結を目指す国際組織犯罪防止条約は、殺人などの重大な犯罪を行うことで合意した場合などに処罰できるよう各国に法整備を求めています。

法務省によりますと、現在の国内法で、重大な犯罪を行うことで合意した場合に処罰できる規定としては、爆発物取締罰則など13の法規に設けられた共謀罪や、内乱罪など国の存立に関わるような8つの重い罪について、仲間と計画を立てたことを処罰する陰謀罪があります。

ただ、政府は、こうした現行の規定について、対象の犯罪が少なすぎて条約を結ぶ条件を満たせないとして、テロ等準備罪を新設し、より広範囲に取り締まれるようにすべきだとしています。

これに対して、民進党などは、罪の新設は憲法が保障する内心の自由を侵害する可能性が極めて高いとしたうえで、現行の法制度の下でも条約を締結することは可能だと主張しています。

具体的には共謀罪や陰謀罪に加えて、殺人予備罪など37ある「予備罪」や、「通貨偽造等準備罪」をはじめ、8つの「準備罪」などの適用で対応すれば、新たな法整備は必要ないとしています。

政府は、組織的犯罪集団には犯罪を行うことを目的に作られたテロ組織や暴力団、薬物密売組織、振り込め詐欺集団などが含まれるほか、当初は別の目的で設けられても、その後、犯罪を目的とする団体に一変した場合には組織的犯罪集団と認定される可能性があるとしています。

これに対し、民進党などは組織的犯罪集団は幅の広い概念であるのに加え、一般の団体がどのような状態になれば、「組織的犯罪集団に一変した」と見なすのかが不透明で、恣意(しい)的な判断により一般市民も処罰の対象になりかねないと指摘しています。

また、テロ組織などは暴力団と異なり、外部から組織的犯罪集団と判断するのは難しいことから、捜査機関が認定を目指す過程で、捜査の権限を乱用するおそれがあるという懸念も出ています。

政府は組織的犯罪集団の2人以上のメンバーが重大な犯罪の実行を計画することを構成要件の1つとしています。

メンバーの計画への合意は顔を合わさなくても、電話や電子メールなどを通じて成立するとしています。ただ、犯罪の計画などがメーリングリストなどを通じて、複数の人に一斉に送られた場合に単に閲覧しただけでは、合意に当たらないという見解を示しています。

これに対して、民進党などは、捜査機関が合意の有無を確かめるために電話やメールの内容などを広範囲に捜査し、プライバシーの侵害につながるおそれがあると批判しています。

どんな場合に適用される?

法務省は、国会での議論などで、今の法制度の下では適切に対処できず、テロ等準備罪の新設を必要とする具体例を複数、示しています。

まず、テロ組織が、複数の飛行機を乗っ取って高層ビルに突入するテロを計画し、メンバーの1人が、航空機のチケットを予約したというケースです。法務省は、この程度の準備行為では「客観的に相当な危険性がある」とは認められず、ハイジャック防止法の予備罪を適用できない可能性があり、計画した犯罪を実行するための準備行為が行われれば処罰できる、テロ等準備罪の新設が必要だとしています。

次に地下鉄サリン事件を念頭に置いたケースで、テロ組織が殺傷能力の高い化学薬品を製造して、同時多発的に大量殺人を行うことを計画し、原料の一部を入手した場合です。民進党などは、地下鉄サリン事件を受けて制定された「サリン防止法」にある予備罪で対処できると指摘していますが、法務省は、テロ組織が入手した原料の一部が化学薬品の完成に不可欠かどうかなどによっては、予備罪に問うのは難しい場合もあるとして、テロ等準備罪の新設を主張しています。

3つめは、テロ組織が、全国の電力や水道などのインフラのシステムを一斉に誤作動させて、パニックに陥らせることを計画し、メンバーがコンピューターウイルスの開発を始めた場合です。現在の法制度にはコンピューターウイルスが完成する前の段階で罰する規定は無いため、法務省は、開発を始めた段階で罪に問えるテロ等準備罪が必要だとしています。これに対しては、ウイルス対策ソフトを作るため、わざとウイルスを作ろうとしただけでも罪に問われかねないという指摘が出ています。

さらに、4つ目は、暴力団の組員らが対立する暴力団の組長の殺害を計画し、拳銃を購入する資金を用意した場合です。法務省は、殺害実行までの段階や状況によっては、殺人予備罪では対処できない可能性があり、テロ等準備罪が必要だとしています。

一方、法務省は一般企業が脱税を計画して、裏帳簿を作成しても、組織的犯罪集団に一変したと認定されないかぎり、処罰の対象にはならないとしています。

また、暴力団などが振り込め詐欺を計画したものの、何もしなかった場合も、準備行為がないため、処罰の対象にはならないとしています。

共謀罪 過去3回廃案になった経緯

国際組織犯罪防止条約が平成15年の通常国会で、自民・公明両党や、当時の民主党、それに共産党などの賛成で承認され、政府は条約が求める国内法の整備のため、同じ国会に共謀罪を設ける法案を初めて提出しました。

しかし、審議は行われず、この年の秋の衆議院解散によって、法案は廃案になりました。その後、平成16年の通常国会に同様の法案が提出され、翌年の通常国会で初めて審議が行われましたが、この時も衆議院の解散によって廃案になりました。

3度目の法案提出は、同じ年の特別国会で、翌平成18年の通常国会と合わせて30時間余りの審議が行われました。当時の法案は、処罰の対象を「団体」とし、犯罪の実行に向けた合意、つまり「共謀」があれば処罰できるとしていました。

対象となる犯罪は懲役・禁錮4年以上の刑罰が科せられる600余りに上り、与野党からは「市民団体や労働組合も対象になる」、「居酒屋で気にくわない上司を殴ることで合意しても、処罰される」などといった懸念が示されました。

これを受けて、与党側と民主党のそれぞれが、処罰の対象を「組織的犯罪集団」に限定し、処罰には合意に加えて、一定の準備行為などを必要とする修正案をまとめ、協議が行われましたが、決裂し、その後、審議されないまま、平成21年の衆議院解散によって廃案になりました。

情報源: 「テロ等準備罪」新設法案を閣議決定 | NHKニュース

まぁ、きっちり線引きされるのならいいと思うけどね。


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