【松浦肇の視線】トランプ氏を「無視」する名門母校、だけどそこには露骨な「金持ち優遇」もあって…露呈する「滑稽な構図」(1/3ページ) – 産経ニュース

ふむ・・・


ニューヨークのミッドタウンには、「クラブ街」なる一角がある。43丁目から44丁目にかけての区画で、「アイビーリーグ」と呼ばれる米国の名門大学の校旗がなびいている。

卒業生しか会員になれない、排他的な社交クラブがひしめく界隈(かいわい)だ。しゃれた建物の玄関には、制服を着た長身のドアマンが立っており、入館者を常に監視している。

「クラブ通り」の中央にそびえる米ペンシルベニア大学の社交クラブ「ペン・クラブ」で最近、出願者を招待する会合が開かれた。授業内容や卒業後の進路などが説明されたのだが、「卒業生としては初めての米大統領になった『人物』には、触れずじまいだった」(参加者)。

トランプ大統領のことである。トランプ氏はペン大の経営学科であるウォートン校を卒業した。トランプ氏の長女、イバンカさんもウォートン校で経営を学び、次女は同大で社会学を専攻した。

なのに、昨年11月の大統領選後、ペン大はトランプ氏に祝辞すら贈っていないとされる。同大はリーダーシップに関する総会を毎年夏に開くが、今のところトランプ氏を招待する予定はないと聞く。

ペン大がトランプ氏と距離を置いているのは明らかだ。選挙後に同大から卒業生に届けられた刊行物にも、トランプ氏に関する記述は見当たらない。

両者のギクシャクした関係は、1980~90年代にさかのぼる。当時、飛ぶ鳥を落とす勢いの事業家だったトランプ氏は、ペン大にこう提案したそうだ。「ウォートン校の校舎に私の名前を付けろ」

校舎に卒業生の名前を冠する場合、費用は卒業生が寄付するのが慣例だ。だが、トランプ氏は「私のブランドの恩恵にあやかるのは大学側だ」と寄付を拒否し、同提案は立ち消えになった。

以来、ペン大ではトランプ氏を敬遠する風潮が強まる。人事政策の授業では、「何を考えているのか分からない経営者」の一例としてトランプ氏を揶揄(やゆ)する場面もあったそうだ。

昨年から、トランプ氏の言動に反発する動きも出てきている。4千人近い学生や教師が「人権を侵害するな」といった趣旨の抗議書をトランプ氏に送ったり、暴言に反対するデモを起こしたりした。

選挙戦では「俺は賢い」とペン大卒の学歴を自己宣伝に使ったトランプ氏。ただならぬ雰囲気を感じ取ったのか、ここにきて母校に関する発言を控えている。

両者の「冷たい関係」は皮肉だ。ペン大学に代表される「アイビーリーグ」こそ、トランプ氏勝利の原動力となった社会格差の代名詞だからだ。

「アイビーリーグ」の学費は、生活費を含めると日本円換算で優に年600万円以上かかる。成績最優秀の特待生か貧困層でない限り、学費の免除を受けられない。そこで、一般の学生はローンが入学の必要条件となる。

一方で、金持ちの子弟は、そこまで勉強ができなくても、優先的に入学できる例が多々ある。親が大学に寄付するからだ。日本だったら「裏口入学」と騒ぎになるだろうが、「アイビーリーグ」は私立ばかりだし、定着した社会慣行なので問題視されていない。

「アイビーリーグ」の大学院はもっと露骨だ。定期的に寄付している企業の社員が優先的に入学できる。米国において、就職に直結する学歴は「コネとゼニ」次第。日本の方がずっと公平だ。

ちなみに、イバンカさんの夫で、トランプ氏の参謀役を務めるクシュナー氏は「アイビーリーグ」の最高峰、ハーバード大卒なのだが、クシュナー氏の親も同大に多額の寄付をしていたそうだ。

労働者の票をかき集めたトランプ氏とその一家が格差拡大の象徴である「アイビーリーグ」で箔(はく)をつけ、一方の名門母校による「反トランプ運動」の原点には同氏の「寄付拒否」があった。半ば滑稽な構図である。(ニューヨーク駐在編集委員・松浦肇 まつうらはじめ)

情報源: 【松浦肇の視線】トランプ氏を「無視」する名門母校、だけどそこには露骨な「金持ち優遇」もあって…露呈する「滑稽な構図」(1/3ページ) – 産経ニュース

ハァ・・・