【中国軍事情勢】旧ソ連のお古でもあなどれない?中国空母「遼寧」の潜在力(1/7ページ) – 産経ニュース

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中国初の空母「遼寧」が昨年12月末から1月上旬にかけ、南シナ海で艦載機の訓練を行った。遼寧は往路で第1列島線(九州-沖縄-台湾-フィリピン)を初めて突破し西太平洋に進出。その後、南シナ海への往復で台湾をほぼ一周し、地域の安全保障に及ぼす影響に注目が集まった。台湾と米国の研究から遼寧の実力や運用の選択肢を探ると、現在は発展途上にあるものの、将来は周辺諸国に脅威をもたらしかねない姿が浮かび上がる。(台北 田中靖人)

航行する中国の空母「遼寧」(共同)

「初の空母打撃群」

12月25日、遼寧の動向をいち早く公表したのは、防衛省統合幕僚監部だった。24日夕の情報として、東シナ海中部で、遼寧と護衛の駆逐艦3隻、フリゲート艦3隻、さらに補給艦1隻の合計8隻を確認したと発表した。

複数の台湾メディアによると、台湾の軍当局はこれに先立ち、南海艦隊(司令部・広東省湛江)に所属する052C(旅洋II)型と052D(旅洋III)型の駆逐艦が北上していたことを確認。北海艦隊(司令部・山東省青島)所属の遼寧と合流して南下するのは時間の問題とみていたという。

台湾海軍が発行する「海軍学術」の2012年12月の論文は、中国が空母打撃群(CSG)を編成する際、空母1隻に護衛として駆逐艦3隻(うち2隻は中国版イージス)とフリゲート艦2隻、補給艦1隻と潜水艦2隻を組み合わせる予測していた。今回、潜水艦の動向は明らかになっておらず、補給艦1隻とフリゲート艦1隻は宮古通過後に艦隊から離脱したものの、構成はこれに近い。遼寧が13年11月に台湾海峡を通過して南シナ海に進出した際の護衛(駆逐艦3隻、フリゲート艦1隻)と比べても数は多く、艦隊としての運用に近づいていることが分かる。実際、「初の空母打撃群を編成」と報じる台湾メディアもあった。

スキージャンプ甲板による制約

遼寧は、中国が1998年、建造が70%程度で止まっていた旧ソ連の空母アドミラル・クズネツォフ級の2番艦「ワリヤーグ」の船体をウクライナから購入、2002年に大連に回航して改修し、12年に就役させたものだ。ロシア海軍は1番艦のアドミラル・クズネツォフを現在も唯一の空母として運用。昨年11月から今年1月にかけ、地中海からのシリア空爆に投入した。

米海軍の空母が蒸気カタパルトで艦載機を射出するのと異なり、クズネツォフ級は飛行甲板がスキージャンプと呼ばれるそり上がった形になっており、艦載機は自力で発艦する。旧ソ連が蒸気式カタパルト(射出機)を採用しなかったのは、技術的な難しさに加え、北方海域での凍結を恐れたためとの説もある。

「海軍学術」の昨年2月の論文などによると、米海軍のカタパルトの離陸重量が約30トンなのに対し、スキージャンプ式では20トン以下に制限される。このため、スキージャンプ式の艦載機は通常、燃料やミサイルなどの弾薬を満載できない。発艦時に多量の燃料を消費するため、作戦行動半径にも影響が出る。遼寧の発艦レーンは、滑走開始点となるエンジンの熱風を遮る板(ディフレクター)から甲板の先端まで125メートル。F15戦闘機の離陸距離が最短で約250メートルとされることから比べれば、非常に短距離での発艦を強いられることが分かる。

また、カタパルト1基につき約60秒おきに射出できるのに対し、スキージャンプ式では約120秒おきに制限されるという。米海軍のニミッツ級空母は、カタパルト(約93メートル)が甲板前方と側面に張り出したアングルド・デッキに各2基の計4基配備されており、1分間に複数機の発艦ができる。これに対し、遼寧の発艦レーンは、前方のスキージャンプに向かって三角形の辺のように線が2本が引かれているだけ。論文は、スキージャンプ式の発艦効率はカタパルト式の4分の1以下としている。

黄海を航行する中国初の空母「遼寧」で行われた艦載機「殲15」の訓練(共同)

艦載機の性能も問題

艦載機にも課題がある。中国は当初、遼寧の艦載機としてロシア製のSu33を想定していた。だが、ロシアからの購入契約が不調に終わり、同機をモデルに「殲(J)15」を開発、09年に初号機が完成した。だが、現在、搭載しているのは18機に過ぎない。遼寧はJ15を24機か26機搭載できるとされており、それにも満たないことになる。量産が進まない原因として、性能や部品の不足が指摘されているが、明らかになっていない。

J15は本来、作戦行動半径が1200キロとされる。だが、米海軍大学校のアンドリュー・エリクソン氏らは11年11月の論考で、発艦方式の影響で、700キロ程度に止まると見積もっている。これに対し、米軍のF/A18の作戦行動半径は1500キロ以上とされ、米海軍の公式サイトは2346キロとしている。

また、同じくカタパルトがないことが原因で、遼寧は固定翼の早期警戒機を搭載できない。プロペラ機の早期警戒機は自力では発艦できないためだ。このため、遼寧は直18型早期警戒ヘリを搭載していることが今回の訓練でも確認されている。直18の性能は不明だが、海軍学術の12年の論文は、中国が当初想定していたとみられるKa31の性能を紹介。航続距離は約600キロ、レーダーの探知距離は半径115キロで、同時に20個の空中目標を追尾できるとしている。これに対し、米海軍の早期警戒機E2Cの場合、航続距離は最大2700キロで、約560キロ以内の目標を最大2000個まで追尾できる。

以上の点から見て、遼寧の戦力が、F/A18戦闘攻撃機だけでも4個飛行隊(40~48機)を搭載する米海軍のニミッツ級に遠く及ばないことは明白だ。米海軍は現在、同級を10隻運用している。

周辺国には脅威に

にも関わらず、遼寧が地域の安全保障に与える影響は無視できない。中国海軍は遼寧の存在により、これまでは得られなかった外洋での航空機による援護を受けることになる。エリクソン氏らは、J15が搭載する空対空ミサイル「霹靂(PL)12」(射程約100キロ)により、最大で空母の周囲約800キロ程度の防空が可能になるとしている。現状の水上艦艇の艦対空ミサイル「海紅旗(HHQ)9」(射程約150キロ)による防空とは格段の差が生じる。また、同様に対艦巡航ミサイルにより、空母の周辺500キロ以内の水上艦艇を攻撃できるとしている。これは、052型駆逐艦が搭載する対艦巡航ミサイル「鷹撃(YJ)62」(射程約270キロ)よりも大幅に攻撃範囲が広まることを意味する。

J15は夜間の発着艦訓練が確認されていないだけでなく、対地攻撃任務を遂行できるかどうかも確認されていない、だが、将来、空対地ミサイルを搭載した場合、南シナ海の周辺国だけでなく、日本にとっても脅威となる可能性がある。特に日本の防空は太平洋側からの侵攻を想定していないとされるため、遼寧の太平洋進出は新たな課題を突きつけた形だ。

エリクソン氏らは、遼寧は米空母艦隊との一対一の対抗では相手にはならないと断じつつも、その存在は中国の周辺諸国にとり「重大な圧力」になるだろうと分析している。

情報源: 【中国軍事情勢】旧ソ連のお古でもあなどれない?中国空母「遼寧」の潜在力(1/7ページ) – 産経ニュース

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