【ニュース深層】前代未聞の“コピペ医師”大量資格取り消し…措置入院の判断どうする(1/9ページ) – 産経ニュース

もう、むちゃくちゃ・・・


指定医制度の根幹を揺るがす前代未聞の事態が起きた。別の医師が書いた患者の症例リポートを写して自らの業績にしたなどとして、全国の精神保健医89人が資格取り消しになった。悪い学生のようにリポートを“コピペ”するような倫理観のない医師が、なぜ生まれてしまったのか。こうした医師をのさばらせた厚生労働省の責任はないのか。医師の大量処分による患者や地域医療への影響も計り知れない。

「極めて遺憾」全国に蔓延

「精神科医療に対する国民の信頼を揺るがす極めて遺憾な事態と思っている。同時に、2度とこういった事案が起きないようにしなければならない。必要な診断や治療に従事した経験を確実に審査できる手法の導入など、再発防止をしっかりやっていく」

塩崎恭久厚労相は厳しい表情でこう語った。

厚労省は10月26日、不正を働いたとして「精神保健指定医」89人の資格を11月9日に取り消すことを決めた。一度にこれだけの人数の指定医が行政処分を受けるのは初めて。取り消し対象者がいた病院は、群馬から沖縄までの12都府県で、全国に不正が蔓延していたことが明らかになった。

きっかけは昨年23人の資格が取り消された聖マリアンナ医科大病院(川崎市)で、厚労省は全国3374人、症例リポート3万1195件を調査した。

患者の診療記録などと照合し、患者名や入院期間に重複がないかを確認。同じ患者の同一期間の症状を扱うなどしたリポートが多数あり、98人から事情を聴く「聴聞」を経て89人の資格の不正取得を認定した。他の9人は資格を自主返上したり、不正はないとした。

なぜか多い兵庫の不正

特に、兵庫県の医療機関に所属していたのは計28人で最多だった。厚労省は「そこはなぜか分からない」と答える。

7人の医師の取り消し処分を受けた兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)の難波光義病院長は、「患者の皆様をはじめ関係者の皆様に多大なるご心配をおかけして心よりおわびする」とコメント。「今回処分を受けた医師は全員退職しており、現在勤務している医師ではない。本院における精神科神経科の診療体制に影響が出るようなことは一切ない」と強調した。

日本精神科病院協会の山崎學会長も「指定医の資格試験そのものが制度疲労を起こしており、試験や研修の方法を改革すべき時期に差し掛かっている。精神障害者が置かれている偏見や差別の現状を踏まえ、われわれこそが、人権を先頭に立って守るのだという気概をもって、日々の臨床に精進することを国民に誓う」との声明を出した。

安易に指定医を増やし、不正を見抜けなかった厚労省側の責任も重い。

厚労省の担当者は「審議会から『言語道断だ』といわれたが、思いは一緒。われわれは精神科医療全体、信頼回復に再発防止をしっかりやらなくてはいけない」と話した。

診療報酬は、一般の精神科と比べて優遇があり、資格があれば数百万円上乗せされるケースもあるという。5人以上の常勤の指定医がいれば「精神科救急入院料」も得られる。不正な資格取得による報酬は詐欺に当たらないのか。

「入院難しくなる」地域医療へ大きな影響

89人もの資格取り消しは、患者や地域の精神医療に深刻な影響を与える。

厚労省が関係の自治体に照会したところ、「影響はあるだろう」と答えたところがいくつかあるという。

実際に自治体からは「基幹病院で複数人の資格が取り消されれば、措置入院の必要性の判断ができなくなるかもしれない」と不安の声も上がっている。

指定医は警察官などから通報を受け、24時間体制で措置入院の必要性を判断するほか、措置入院中の診療や解除の判断にも関わる重大な責務を負う。指定医が減れば、こうした状況に対応できなくなる。

より深刻なのは、入院を同意する状態にない重度の患者を家族の同意により入院させる「医療保護入院」。指定医はその必要性も判断する。厚労省によると、措置入院は年約7000件に対して、医療保護入院は24倍となる約17万件だ。

聖マリアンナ医大病院では、昨年3月に13人いた常勤の指定医が今年4月には4人に減り、診療体制を縮小せざるを得なくなった。川崎市の担当者は「同病院での医療保護入院は難しくなった」と振り返る。

精神医療に詳しい「市民の人権擁護の会日本支部」の米田倫康代表は「患者の人権を制限できる資格なのに、医師の力量は正しく判断されてこなかった」と指弾。一方で「措置入院が精神疾患のため立件できない犯罪容疑者の受け入れ先になってきた側面もある」と話し、地域の精神医療体制の見直しを訴えた。

【用語解説】「精神保健指定医」 精神保健福祉法に基づき、精神障害で自分や他人を傷つける恐れがある患者を強制的に入院させる「措置入院」や「身体拘束」などの行動制限の必要性を判断できる精神科医。指定には精神科医として3年以上の実務経験に加え、統合失調症や認知症などの患者8例以上を診察したケースリポートの提出が必要となる。指定医は今年4月時点で全国に1万4707人。

◇ ◇ ◇

精神保健指定医の資格を取り消された89人の氏名と、不正なリポートに使った症例を診察した際の所属医療機関名は次の通り。(肩書略)

【指定医】

◇群馬

清野うらら(38)、鈴木雄介(35)=群馬県立精神医療センター

◇千葉

田所重紀(41)=千葉大病院

◇東京

浅野未苗(41)=東京都立松沢病院▽金田渉(36)、石井民子(61)=東京都立多摩総合医療センター

◇神奈川

坂口貴子(48)=医療法人社団朋友会けやきの森病院▽近藤友子(32)=横浜市立大付属市民総合医療センター▽山田英介(37)、田村利之(41)=昭和大横浜市北部病院▽橋本知明(39)=聖マリアンナ医大病院▽大林拓樹(33)、田沼龍太郎(35)、龍田彩(43)=北里大東病院

◇愛知

宮沢利和(39)、長谷川裕記(39)、野口貴弘(40)=愛知医科大病院

◇京都

大田壮一郎(37)=宇治おうばく病院▽酒井雄希(35)、水原祐起(38)、西沢晋(40)=京都府立医科大病院

◇大阪

赤沢美歩(42)=東香里病院▽守谷真樹子(37)、実松麻由子(34)=藍野花園病院

◇兵庫

伊藤毅(42)、財田一也(53)、宗和将志(34)、田中健一(39)、藤田学(51)=医療法人社団正仁会明石土山病院▽岡崎賢志(39)=兵庫県立光風病院、神戸大病院▽田中知子(37)=神戸大病院▽浅野真紀(36)、吉崎晶絵(38)、岩永伴久(37)、北浦寛史(44)、浜田優一朗(37)=兵庫医科大病院▽井上由香(39)、横山紘子(35)、佐々木雅明(35)、小泉千晶(39)=兵庫県立光風病院▽江口典臣(37)、三家英彦(38)、志村政幸(45)、平岡やよい(44)=湊川病院

◇岡山

池上陽子(37)=岡山県精神科医療センター▽鎌田豪介(42)=財団法人林精神医学研究所付属林道倫精神科神経科病院

◇高知

山内祥豪(44)、須賀楓介(34)=高知大病院

◇沖縄

海江田保彦(40)=国立病院機構琉球病院

【指導医】

◇群馬

原淳子(57)=医療法人原会原病院▽須藤友博(45)、大舘太郎(40)=群馬県立精神医療センター

◇千葉

佐々木剛(38)、白石哲也(45)=千葉大病院

◇東京

野中俊宏(51)=東京都立松沢病院▽西村隆夫(67)=東京都立多摩総合医療センター

◇神奈川

堤康彦(60)=医療法人社団朋友会けやきの森病院▽近藤大三(37)=横浜市立大付属市民総合医療センター▽吉邨善孝(52)=済生会横浜市東部病院▽工藤行夫(68)=昭和大横浜市北部病院▽御園生篤志(47)=聖マリアンナ医大病院▽大石智(41)、高橋恵(53)=北里大東病院

◇愛知

松原桃代(57)、木村仁(54)、多羅尾陽子(43)、鈴木滋(58)=愛知医科大病院

◇京都

岡崎信也(54)=宇治おうばく病院▽中前貴(37)、柴田敬祐(41)、北林百合之介(43)、成本迅(45)、松本良平(40)=京都府立医科大病院

◇大阪

井家上譲(59)=東香里病院▽川島文雄(59)=藍野花園病院

◇兵庫

太田正幸(67)=医療法人社団正仁会明石土山病院▽山本泰司(51)=神戸大病院▽大原一幸(55)、奥田嘉男(75)=兵庫医科大病院▽葛山秀則(57)、関口典子(48)=兵庫県立光風病院▽田淵実治郎(51)、山口道彦(42)=湊川病院

◇岡山

河本泰信(56)=岡山県精神科医療センター▽井上慶郎(60)=財団法人林精神医学研究所付属林道倫精神科神経科病院

◇高知

藤田博一(45)=高知大病院

◇長崎

畑田けい子(52)、立木均(57)=厚生会道ノ尾病院

◇沖縄

原田聡志(39)=国立病院機構琉球病院

情報源: 【ニュース深層】前代未聞の“コピペ医師”大量資格取り消し…措置入院の判断どうする(1/9ページ) – 産経ニュース

どうなっているんだか・・・